軽石で沖縄の生物は?研究者「海洋ごみにも目を向ける契機に」

 

 研究でもプライベートでも、沖縄の海をはじめとした各地にごみが多く捨てられていることに普段から目を配らせてきた。

 「外国からの漂着ごみもありますが、少なくとも沖縄本島沿岸にある7割ぐらいは地元から出ています。マナーの悪さが目立ちます」

海での生物研究を長年続けるライマー准教授(本人提供)

「沿岸」と「水面」に限定された影響

 とはいえ、今回の軽石が沖縄の海洋生物に与えうる影響は少なからずあるという。どのようなものがあるのか。

 「フジツボなどが軽石にくっついて小笠原から入ってくる可能性はあると思います。自然に起きたことなので『外来種』とまでは言えません。ただ、これと同じことは軽石ではなくペットボトルなどでもあり得ます」

 「水面で物を食べている生き物は軽石を食べて死んでしまうなどの影響が出ると思います。全体的にいっぱい死ぬわけではなく、『沿岸』と『水面』といった狭い規模での悪影響にとどまるかと思います。しかし、これは今までの研究に基づく予想でしかないので、ちゃんとしたデータを集めてなければなりません」

 また、軽石を「食べてしまう」という影響のみならず、軽石に「ぶつかる」ことで生物に影響が出ることも、ライマー准教授は挙げる。

 「海と陸の境界にあって、満潮と干潮の場所である『潮間帯』に住む生き物、例えばスナギンチャクや海藻は、直接軽石がぶつかって物理的にダメ―ジを受けるのではないかと思います。もともと、潮間帯の生き物は基本的に強く、海中でも大気中でも生きられて、10~40度の温度変化にも耐えられるほどです。しかし、小さい石がたくさんぶつかっていくとやはり悪影響は出ると思います」

サンゴへの影響は?

 水面に軽石が漂うことでサンゴと共生する褐虫藻の光合成がうまくいかなくなり、サンゴにも悪影響が及ぶのではとの懸念もあるが、そのあたりはどうだろうか。

 「水深が20メートルになると、そこまで届く光は水面の1割以下です。そのような深さにいるサンゴは、ちょっとでも光があると存在できます。しかし、問題は水深数メートルの浅い海にいるサンゴです。かなり大量の光がなければ栄養が足りなくなるのではと思います。ただそれは、軽石が仮に2~3週間もその場所にとどまって全く光をさえぎってしまっていたらという話です。軽石は流されてあちこち動きますよね。隙間からも光は入っていきます。これからは冬なので、もともと日光も弱いです。湾や港といった軽石がたまりやすい場所には影響が出るかもしれません。多くの場合、サンゴの白化は海水の温度の問題で引き起こされます。光の影響については今後の研究がさらに必要になってくると思います」

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長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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