「沖縄をパンツ大国に」ボクサーパンツの鶴亀本舗が香港進出

 

 ボクサーパンツの製造販売などを手掛ける鶴亀本舗(沖縄市)は、8月から香港での商品展開を開始する。同社のボクサーパンツのデザインには、沖縄県内のデザイナーもこれまで多く携わっており、パンツをキャンバスにして沖縄のアートも海を渡る。同社の伊禮翔哉代表は「沖縄をパンツ大国にしたい」と意気込んでおり、海外とのコラボデザインなど「パンツを通した文化交流」にも励む。

デザイナーコラボで香港に5商品

鶴亀本舗の商品たち=7月、那覇市の「南の島のティーダビーチ」

 今年で創業6年目を迎えた鶴亀本舗にとっては、初めての海外進出となる。社名と同名のオリジナルブランド「鶴亀本舗」は、これまで沖縄県在住者や出身者を中心としたデザイナー10人以上とコラボしながら、沖縄の自然や文化をイメージさせるようなスタイリッシュなデザインの商品を展開している。SNSやHPでの販売に加えて、沖縄県内のセレクトショップやポップアップショップでも展示販売している。

 今回香港で販売されるラインナップは、香港のデザイナーとコラボした「OKINAWA SESAA BOXERPANTS」が2色、紅型研究所染千花とコラボした「紅型ボクサーパンツ」、県内のブランド・REPRESENT OKINAWAとコラボした「RYUKYU PAISLEY」、花笠やミンサーなど沖縄文化が散りばめられた「南国アロハ」の計5つ。個性的なデザイン溢れるパンツたちは、アート作品としても海を越える。

紅型ボクサーパンツのデザイン図(鶴亀本舗提供)

 沖縄でデザインされ、中国で製造された鶴亀本舗のパンツは今回、実店舗での販売網に香港が加わったことでビジネスを通して東アジアを三角形で結ぶこととなる。

香港への足掛かりはコラボ依頼から

香港の夜景

 海外進出のきっかけは足元に転がっていた。鶴亀本舗は香港のパンツブランド「UNDERXCORE(アンダーコア)」の商品も輸入販売しており、仕事上でやり取りをしていた同ブランドのデザイナー・BARRY KAN氏に「鶴亀本舗」の商品デザインを依頼したことが事の発端だ。「沖縄をモチーフにしたデザインでタイアップしませんか?」と話を持ち掛けたという伊禮代表。「日本と香港のパンツブランドがコラボすること自体が珍しいです」と話すように、その試みの新しさなども評価を受け、香港のデパート内にあるショップに並ぶこととなった。

香港目線の沖縄イメージをパンツに

 これまで「沖縄のデザイナーによる沖縄のパンツ」を販売していた鶴亀本舗にとっては「海外のデザイナーによる沖縄のパンツ」を手掛けることを通して「外から見た沖縄イメージ」をデザインに落とし込めたことは新鮮でもあり、驚きでもあった。

 「シーサーのイメージが強かったようです。香港にもシーサーみたいなものはあって、文化的にも近いんですよね。なおかつ赤と黄色という色使いが沖縄を連想させるようでした。琉装っぽい色だからですかね。あとは、青と白は海と砂浜のイメージです」

 香港タッチで大きく描かれた2体のシーサーに加え、パンツの真ん中に「OKINAWA」と気前よく配された文字が、香港と沖縄のコラボ感を引き立てている。

「パンツは世界共通じゃないですか?」

 「アジアを皮切りにいろんな国に展開できたら」と展望を語る伊禮代表。「パンツは世界共通じゃないですか?世界のパンツ界に、沖縄のデザインがされたパンツを広げていきたいです。パンツがきっかけで沖縄を知ってもらえたら良いですよね。日本の人がグッチのパンツを穿くように、海外の人が鶴亀本舗のパンツを穿くことを思い描いています」

ボクサーパンツ愛を語る鶴亀本舗の伊禮翔哉代表

 外側からは基本的に見えることのない、ボクサーパンツ。しかし伊禮代表が「初めてブランド物のパンツを穿いた時の高揚感が忘れられなかった」と話すように、単なる下着としてだけではなく、服の内側からその日の気分を高めてくれる存在でもある。

 「沖縄をパンツ大国にしたいんです」。たかがパンツ、されどパンツ。心躍り、ちむどんどんできる体験を世界中に広げていく。

■関連リンク
☆ボクサーパンツ専門店 鶴亀本舗
☆ボクサーパンツを芸術に昇華!沖縄発のクリエイターコラボ 鶴亀本舗の挑戦 | HUB沖縄


長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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