ボクサーパンツを芸術に昇華!沖縄発のクリエイターコラボ 鶴亀本舗の挑戦

 
鶴亀本舗の伊禮翔哉共同代表(左)とイラストレーターのシーゼア織絵さん

 ボクサーパンツに命を燃やす男がいる。 

 ボクサーパンツ専門店として展開する鶴亀本舗(伊禮翔哉共同代表)は、県内のクリエイターやデザイナー、著名人とコラボした沖縄発のオリジナル作品を手掛けている。

 なぜボクサーパンツにこだわり、なぜコラボ作品を展開し続けるのか。鶴亀本舗の伊禮共同代表と、今回新しくコラボに参加したイラストレーターのシーゼア織絵さんに話を聞いた。

明るく楽しいボクサーパンツを!

 2019年3月設立の鶴亀本舗が展開するブランドは、クリエイターらとコラボした「MIX58」、沖縄のデザインを織り込んだ「chibariyo-チバリヨ-」、ウエストゴムにこだわったという洗練された「BUDDY」の3つだ。

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 2019年6月には、県内で初めてボクサーパンツのファッションショーを那覇市内で開催し、約200人を動員した。2020年2月にはバレンタイン企画としてデパートリウボウでポップアップショップを出店するなど、精力的にボクサーパンツ文化発展に力を注いでいる。

 今回、新たに加わったシーゼアさんの作品は、好対照な2作品だ。

 風や波などの自然の動きが渦巻くイメージに、琉球藍染めを連想させる色で仕上げたという「Ryukyu Swirl / リュウキュウスワール」、英語で“熱狂する”を意味する“go bananas”に掛け、みんなが熱狂するほどの魅力を持つ沖縄を思って描いた「Okinawa Go Bananas」。

 鶴亀本舗が他のクリエイターとコラボしていた作品を見たシーゼアさんが、自ら声をかけ、実現した。この日、初めて完成作品を目にして「うれしいの一言に尽きます。(下着は)外からは見えないけど、お気に入りのものをまとうと気持ちが明るくなる。履いた人の気分が上がるといいな」と喜んだ。

なぜ、ボクサーパンツ?

 伊禮さんが大学生の時に訪れた韓国・ソウルの路面店での衝撃の出会いから、今に続いている。

 「絶対に偽物なんですけど、ブランド物のパンツがとっても安く売られていたんですよ。1000円もしませんでした」

 売ってくれたのは、50代半ばぐらいのおじさんだった。しかし、目の前のパンツにばかり視線が奪われ、おじさんの顔立ちや表情までは覚えていない。

 これまで、3枚で1000円ぐらいのお値打ちパンツしか履いてこなかった伊禮さんは、偽物とは思っているもののブランド物のパンツを買った自分に心底ウキウキした。韓国では履かずに、沖縄まで大切に持ち帰ったという。

 「たしか、ポール・スミスでしたね。これしかないと思いまして。この1着に決めました」

 自宅に戻って、一人履いてみた。鏡の前に立っていた。

「うぉー、って感じでした。めちゃくちゃテンション上がってしまって。履いた時のあの高揚感は忘れられません」

今もあの日のパンツは引き出しの奥にしっかりとしまっている。

あの日の高揚感を忘れない

 一緒に韓国を訪れた友人と、沖縄で夢を語っていた時だった。大学を卒業し、就職し、しかしもう一歩明るい未来を作り上げたいと悶々としていた日々でもあった。

 一緒に何かを始めようと、スケッチブックに夢やビジョンを描いては、あれこれと話し合っていた。

 「あの時のパンツ!」

 2人ともあの時の高揚感を忘れていなかった。

 ただ、そもそもアパレルで仕事をしたことがなく、何から何まで手探り状態の中で、とにかくまずはボクサーパンツを売ってみよう、売ってみて考えよう、との気持ちが先行していた。

 メーカーから100枚のボクサーパンツを仕入れて、北谷町美浜と那覇市国際通りで、道に段ボールを敷いて販売した。ちょうど、韓国のパンツ屋さんと同じ状況を、今度は自らが作り出していた。「全く売れなかった」というが、これがのちのち、鶴亀本舗に続く第一歩目にもなった。

ボクサーパンツを新しい芸術のキャンバスに

 鶴亀本舗のボクサーパンツの特徴の一つは、凹凸をなくした縫い目のない構造だ。タグ類は一切付けず、体にフィットする感覚を大切にしている。水着のメーカーも関わっている生地を採用しており、伸縮性や通気性も抜群だ。

 そして、一番はそのデザイン性。沖縄で生まれた、沖縄のデザインの、沖縄のパンツ。

 「メンズ下着、ボクサーパンツを楽しんでほしいと思っています。色んな素材やデザインがあることを知ってもらえたら、という思いです」

 沖縄のクリエイターの表現の幅を広げることにも寄与している。イラストやTシャツなど、誰の目にも触れる作品とは違い「いつもは隠れている場所」で、どのような表現ができるか。パンツを新しい芸術表現の場として捉えたことに、鶴亀本舗の斬新性がある。

 「パンツという見えない部分だからこそ表現できることがあると思っています。だからこそ、イラストレーター、作家さん、芸人さん、ダンサーなど、様々な視点でつくるパンツブランドにしたかったんです」

 昨年はパンツ展示会「ボクパンフェスタ」も開催した。

目からウロコ!いろんなパンツの活用法!

 伊禮さんはボクサーパンツが好きすぎて、従来のパンツの使い方の枠を超えた「パンツ使い」を提案する。

 ①夏の暑い時期にはハンカチ代わりにも

②胸元の挿し色としてフォーマルな装いにも

③ズボンのポケットにさりげないオシャレ

④大切なスマホのケアにも

目指すはパンツロックフェス

 伊禮さんのアイデアは出現が止まらない。

 コロナが収束した時には、こんなことも考えている。

 「パンツロックフェスを開催したいです。パンツの初野外フェスです。あくまで構想なんですけどね。音楽と飲み物とパンツと。出演者もみんなパンツで。お客はパンツを頭上で振り回して盛り上がるんですよ」

 勢いが良すぎてピントがズレるほどだ。

 たかがボクサーパンツ、されどボクサーパンツ。ボクサーパンツというワンテーマで、高揚感やファッション性、芸術の場まで作り出した鶴亀本舗の挑戦は、これからも続く。

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長濱 良起

長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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