「健全な経営ができなくなる」 飲食業“狙い撃ち”の感染対策は妥当か

 
国際通りの人出はまだ「本調子」ではない(まん防解除後の2月末撮影、以下同)

 那覇市内の繁華街。少し歩くと、ビールジョッキ片手に楽しげに話す人たちで席が埋まる店からは賑やかな声が響き、そのすぐ隣には客が1人もいない店内で店員が手持ち無沙汰にスマホをいじっている店もある。

 沖縄県に適用されていた「まん延防止等重点措置」が2月20日に全面解除されて2週間が経過し、街場の飲食店には人が戻り始めている。しかし、観光客も含めてまだまだ人手は多いとは言えない中で、客が入っている店とそうでない店の明暗が分かれている印象だ。
 さらに、県内の感染者数は1000人に届きそうな数字で高止まりの状態が続いており、再び営業が制限されるのではないかという懸念もチラつく中、「健全な営業ができるのか」という危惧も高まっている。

検証のない繰り返しに疑義

「オミクロンの情報も色々と分かってきている中で、今後もまたこれまでと同じように営業時間を制限して協力金を支払うというやり方を繰り返すとなると、もう健全な営業ができなくなりますよ。コロナ後に閉めてしまう店を増やすことにもなる」

 沖縄県飲食業生活衛生同業組合の鈴木洋一理事長は厳しい口調でそう話し始めた。コロナ禍に突入して丸々2年が経ち、費用をかけて出来る限りの感染対策を進めてきた飲食店も多い。地元客を中心とした店には5~7割の客が戻っているが、観光客が戻っていないこともあり国際通り周辺は「まだまだ本調子ではない」という。

 現在は特に飲食店でクラスターが多く発生しているというわけでもない。しかしそんな中で感染対策として真っ先に時短営業という措置に踏み切る事態が続いているため、ここしばらく飲食業が“狙い撃ち”されているというイメージも拭えない。

牧志公設市場付近。開いている店もあるが、客の入りにはかなりの差がある

 これまでのコロナ関連の施策を検証しないまま、感染者数と医療逼迫を根拠に営業制限や協力金支給の度重なる実施に鈴木さんは疑義を唱える。

「組合としては、これから第7波になったとしてもこれ以上の制限措置には反対の立場です。特に認証店については営業できる形で話し合いを進めています。

 国がお金を出すから簡単に時短と給付金やってますけど、『客が来ないから協力金をもらった方がいい』という姿勢の店が多くなるのは業界として真っ当な状況とは言えないでしょう」

 昨年末には感染者数が増えても店の営業を止めないようにするため、県と組合が連携して飲食店での陰性証明・ワクチン証明を経ての入店に関する実証実験も行ったが、そのフィードバックと実際の運用について具体的な動きはないという。

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