沖縄の景気判断据え置き 「持ち直し弱まる」日銀那覇支店

 
3月県内金融経済概況を発表する日銀那覇支店の飯島浩太支店長=9日、日本銀行那覇支店

 日本銀行那覇支店(飯島浩太支店長)は9日、3月の県内金融経済概況を発表した。県内景気は、オミクロン株が流行し、まん延防止等重点措置などでサービス消費への下押し圧力がかかる状況が続いているとして、「厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが弱まっている」との判断を据え置いた。先行きは「引き続き感染症の影響を受けるとみられる」とした。

 項目別でも、2月からの判断変更はなかった。ただ、個人消費では「持ち直しの動きが続いているものの、サービス消費を中心に、感染症の影響による下押し圧力がみられている」とし、前月の「感染症の再拡大の影響による下押し圧力が強まっている」との表現を変更した。

 個人消費で判断を維持した理由としては、新規感染者数がピークアウトしていることや、判断を引き下げた2月から「下押し圧力」が一段と強まった訳ではないことを挙げた。

 飯島支店長は、県内景況について、1月9日から適用されたまん延防止等重点措置の影響があったほか、2月20日までで同措置が解除されて以後も新規感染者数が下がりきらず「感染症に対する警戒感は続いている」と指摘した。

 その上で、「観光や外食といったサービス消費に対する下押し圧力がかかる状況が続いている」との見解を示した。

 観光については、1月の主要ホテル客室稼働率が23.2%、7日までに集計した2月の速報値も22.0%とほぼ横ばいで、引き続き低水準で推移するとの見通しを示した。

 公共投資は「緩やかに増加している」、設備投資と住宅投資は「下げ止まりつつある」との判断を継続した。新設住宅着工戸数は前年比20.7%減で、振れ幅が大きい分譲マンションが前年比マイナスとなったことが影響したものの、持ち家や分譲戸建ては堅調に推移しているという。

 目先の県内経済については、感染症の影響が和らいでいくなかで、持ち直しの動きが再びはっきりしてくることが期待されるという。ホテル関係への聞き取りでも、第6波の収束を見込んで、3月の3連休や春休みの予約は入り始めているという声が聞かれているとした。

 また、ロシアがウクライナに侵攻したことが県経済に及ぼす影響について、飯島支店長は直接的な影響はないとしながらも「経済制裁の関係で、ロシアからの天然ガスなどの供給が制約されると、一段と資源価格が上昇することになりかねない」と懸念を示した。

(記事・写真・図 宮古毎日新聞)

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