「健全な経営ができなくなる」 飲食業“狙い撃ち”の感染対策は妥当か

 
「国際通りのれん街」の一角は若者で賑わっているが、通りを歩く人は少ない

行政の姿勢は「責任感が無い」

 感染対策の常態化が長引く中でそもそも外食をする客の母数が減った上、飲食店に出入りする際は客側も認証店や対策をきちんとしている店を選ぶ傾向にある。さらに自身の体調が悪いと、それを考慮して店に行かないという人も増えているという。

 2月のまん防解除を巡る医療関係者の専門家会議では、感染拡大への懸念から「消極的賛成」という意見が出て適用期間終了に至った。制限は解除されたものの、県がこの「消極的賛成」に“おんぶに抱っこ”にも見えるように判断を下したことについて、鈴木さんは「責任感の無い態度だ」と批判する。

「高齢者のワクチン接種なども含めた医療の大事さももちろん分かります。しかし、専門家会議の判断はあくまで参考意見です。そこに経済も止めないようにすることも加味した上で『沖縄県として、沖縄県知事としてどうするのか』というスタンスを行政側がきちんと示さねばならないのに、それが全くないのは問題だと思います」

「閉めてお金をもらった方がいい」

 まん防が解除された最初の週末の夜、那覇市牧志付近を歩いてみたが感染者数が下がっていない状況もあってか、人通りはかなり少なかった。

 牧志公設市場に程近いとある居酒屋の男性店主は、客入りが寂しい店内を見回して「これなら閉めて協力金もらった方がいい」と苦笑いしていた。度重なる緊急事態宣言とまん防で、常連客も含めて「客が戻らない」という。

 店舗営業にあたって国や県のガイドラインに則って感染対策もしてきたが、断続的な閉店で客離れが止まらなかった。男性店主は「これと言った売りがないうちみたいな居酒屋はもう厳しいということですかね」と自虐気味に力なく笑った。

■関連リンク
沖縄の景気判断据え置き 「持ち直し弱まる」日銀那覇支店
「第6波の中で経済を回す方法の模索を」 沖縄県飲食業生活衛生同業組合理事長・鈴木洋一さん
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真栄城 潤一

投稿者記事一覧

1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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