スポーツ×各産業で新ビジネス 「可能性しかない」沖縄の強みとは

 

 スポーツチーム・団体と産学官が連携して新たなビジネスや価値を生み出すプログラムが沖縄でも動き始めている。スポーツ庁が取り組む「スポーツオープンイノベーション推進事業」の一環で、沖縄の他に北海道、関西、中国の計4地域を先進事例形成地域として選定。サッカーのFC琉球、卓球の琉球アスティーダ、さらには沖縄県内で春季キャンプを行う東北楽天ゴールデンイーグルスの3チームが抱える課題やテーマに応じて各企業団体から事業アイデアを募り、専門家の知見を得ながら具体的な社会実装や事業化を目指す。

「スポーツは成長産業だ。」

 同事業は「スポーツは成長産業だ。」をコンセプトに掲げる。各企業からエントリーされた事業アイデアは、書類選考の末に11月19、20の両日に県内で開催される「INNOVATION LEAGUE SPORTS BUSINESS BUILD」でのディスカッションやブラッシュアップを経て、合計3社を選定、事業実施に向け走り出すこととなる。メンター(助言者)にはビジネス界やスポーツ界から15人が名を連ね、事業化をサポートする。新規性、市場性、実現可能性、事業拡張性の4項目から審査され、各エリア(北海道、関西、中国、沖縄)ごとに最大300万円の支援が受けられる。

北部市場を開拓したいFC琉球

 各チームにはどのような課題や可能性があるのか。1チームずつ見ていく。

(FC琉球プレスリリースより)

 FC琉球のテーマは「スタジアムから沖縄全域・全国へ人々の交流を広げる仕掛け」。同チームのホームタウンは沖縄本島中部の沖縄市で、サポーターの多くが那覇市を含む中南部に住んでいることから、名護市など本島北部からも新規サポーターを開拓し、スタジアムまで足を運んでもらいたいという課題がある。

 また、島しょ県沖縄ならではの移動負担のため、選手のコンディション維持やストレス軽減などにもつなげたいという。

 もちろん、沖縄のチームであるが故の強みもある。アジア諸国に近いという立地を生かして、台湾サッカー協会とパートナーシップを締結したり、ベトナムのサイゴンFCと連携したりするなど、市場拡大に向けて個性を強めている。

琉球アスティーダ「XR」で新しい観戦体験を

(チームHPより)

 琉球アスティーダのテーマは「スポーツ×エンターテイメントによる次世代ビジネスの創造」。運営会社「琉球アスティーダスポーツクラブ株式会社」がスポーツ事業と並んで展開している飲食事業部門で、アスリートメニューやダイエットメニューの開発などを通した新ビジネスの創出を課題の一つに掲げる。さらには、現実世界と仮想世界を融合する技術「XR(クロスリアリティ)」を活用した新しい観戦体験やエンターテイメントの創出なども見据えている。

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