これからの子どもたちの「学び」に必要なこと 平田オリザさんが講演

 

沖縄観光の弱点とは

 沖縄を巡っては平田さん自身も携わった、沖縄市で開催されていた演劇イベント「キジムナーフェスタ」について「終わってしまったのはとても残念。イベントを続けてくれていたら、とても面白いことになっていたと思うんですが」と折に触れてコメントした。
 演劇と教育について、ここ数年で急進的な動きがあることや、自身が学長に就き今年開校した「芸術文化観光専門職大学」にも言及しながら、沖縄の観光やアートについても話した。

コロナ後にもう1回観光で来てもらうとなると、食やスポーツなどの『文化観光』が重要になってきます。その中でも、沖縄も含めた日本が特に弱いのが夜の時間帯のエンターテインメント。家族連れで行けるようなブロードウェイのような所がない。
 そうした文化事業を企画したり運営したり実践したりする人材を育成するのが芸術文化観光専門職大学のねらいなんです。そこでやっぱり思うのは、大学の名称にも『観光』が入ってることからも分かるように、本当は沖縄が1番向いていたということですね」

 そう話した上で「沖縄市もずっと僕を文化芸術事業に使っていれば大学ができたかもしれないのにねえ…」とぼやいて笑いをとりつつ、「沖縄だったらみんな県外からも来たはずです」と付け加えた。その上で、沖縄が本当の国際リゾートに脱皮するためには「昼のスポーツと夜のアートが必須」と断言。そうした事業を見据えて人材を育成していかなければ「いつまでたっても東京資本、グローバル資本に収奪されるまま」と厳しく指摘した。

 平田さんは「コンテンツを裾野からちょっとずつ育てないといけない」と繰り返し強調した上で、沖縄の「芸能の島」という土台を生かして「若い世代が使命感を持って頑張っていってほしい」と期待を込めた。

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真栄城 潤一

投稿者記事一覧

1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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