「体験の保障は子どもの権利」 部活動の派遣は課題が山積み

 

「沖縄県内のとある小学校のミニバスケットボールチームの話です。大会で勝ち上がって県外遠征試合に出場することになったのですが、キャプテンでエースの生徒が家計の事情で県外に行けないことが分かった。でもそれでは勝つのが難しくなるということで、チームの保護者でカンパを募って旅費を捻出しようとしたのですが、キャプテンの保護者が申し出を断りました。その結果、キャプテン不在のまま遠征試合に行って、チームはボロ負けで帰ってきました」

 こう語るのは公益財団法人「みらいファンド沖縄」の副代表理事を務める平良斗星さん。部活動に取り組む子どもたちが沖縄県外に派遣する際、旅費負担を支援する「沖縄・離島の子ども派遣基金事業」を手掛けている。
 離島県という立地の沖縄で、移動に際してどうしても費用が発生してしまうことで体験することの選択肢や機会が減る、もしくは無くなってしまっている現状を「子どもの人権が守られていない不平等な状態」として地域全体で認識することが目的の1つだ。

権利を可視化して世の中の合意を得る

 部活動派遣の支援について、平良さんは「10年間コミュニティ財団をやってきた中でも相談が多く、ニーズを感じていた」という。子どもたちの体験や学びの機会という点でみると、とりわけ部活動での県外派遣の旅費負担は本人や家族が自己責任で担保しているために、機会の不平等が生じている
 ただ、部活動に対しては「好きでやっているから(自己負担は)仕方ない」という意見が多いのも事実で、さらにそこには各家庭の家計の問題や、指導の中での個別児童生徒への“えこ贔屓”(に見られること)などの要素も複雑に絡んでくる。それゆえ、行政が単純に派遣費用を100%負担するには公平さの観点から反発も出てくるため、「扱いづらい分野」だという。


 そこでみらいファンド沖縄はこの現状を社会課題として捉え、子どもの権利、ひいては人権を保障することを軸にして事業を立ち上げた。

「人権は“当然あるもの”ではあるんですが、いざ発効しようとするとそのために世の中の合意が必要になります。だから、行政の手が回らない部分では民間で取り組みながら『人権があるんですよ』ということをコツコツと可視化していかなければ、人権意識は醸成していかないと思うんです」

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