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「毎日泣きながら暮らしています」 コロナ禍、低所得層子育ての窮状
- 2021/6/3
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さらに世帯の類型で見ると、1歳児を持つ世帯・5歳児を持つ世帯ともにひとり親世帯の方が深刻な影響を受けていることも明らかになった。1歳児について減収があった割合は、ふたり親世帯35%に対し、ひとり親世帯は49.1%に及んでいる。そのうち、5割以上の減収はふたり親世帯が5.5%、ひとり親世帯は倍以上の13.4%という数字になっており、影響の深刻さがうかがえる。
県はこれらの世帯で子育てをする場合、そもそもコロナ以前から家計が厳しく、貯蓄金なども少なかったことを前置きした上で「(コロナ禍の影響で)大幅な減収に直面すると、食事などを切り詰めたり、または穴埋めとして無理な労働に従事したりして、子どもや保護者の健康や生命にさえ影響を与えかねない」と指摘している。
ひとり親であるだけで高まる抑うつ指標
保護者の抑うつ傾向についても所得階層によって差があり、特にひとり親世帯の保護者の抑うつ指標が高い傾向にあり、精神的に余裕のない厳しい状況にあることが分かった。
国民生活調査に用いる指標で抑うつ傾向を算出した数値に基づく経年比較では、前回2017年実施時よりも特に1歳児保護者の抑うつ傾向が強まった。経済状況別でも、一般層の「重度抑うつ・不安障害相当」以外全ての項目で今回調査が高い数値になっている。
また、コロナの影響による減収と抑うつ傾向との相関については、5歳児のふたり親世帯で世帯収入の減少が厳しくなるほど抑うつ指標が上がることが示された。一方で、ひとり親世帯は収入が「変化なし・増えた」という状況でも、ふたり親世帯の「3割以上減収」よりも抑うつ指標が高い数値になっており、ひとり親世帯であるだけで抑うつ指標が高まる傾向が明らかになった。
このほか、産休・育休、就労状況、病院での受診抑制、食生活などの項目でも調査を行なっており、それぞれ結果が示されている。
認可外保育施設の認可化、幼児教育・保育の無償化などの効果で改善が見られる点もあったが、コロナの影響で“もともと深刻な状況の世帯ほどより厳しくなっている”現状の方が目立つ。本来であれば最も早く届かねばならぬ層に支援の手が届いていないという指摘は、貧困問題が表面化した時から言われ続けてきているが、解決への道のりはまだ遠い。
冒頭に並ぶような切実な声を拾いあげ、そのニーズを反映した支援体制を迅速に構築していくことが、県が掲げる「誰一人取り残すことのない優しい社会」の実現につながるのではないだろうか。