沖縄振興計画素案発表「日本経済への貢献」前面に
- 2021/6/2
- 政治
海洋研究で新たな発電エネルギーを
素案では新たに、首里城の復元・復興についても触れられた。その復元過程においても「文化、教育、観光」の観点から活用し、「復元の進捗状況に関して最大限の情報公開を行い、首里城の復興や琉球文化に共感する県内外のすべての人が参画できるプロセスが重要である」としている。
さらに、ブルーエコノミー(海洋経済)についても言及された。海に囲まれた沖縄県の立地を活かして、海洋温度差、潮流、波力などを活用した発電に向けた研究開発の促進を目指す。現状では石炭など化石燃料での火力発電が中心だが、そうした電力事情の転換も目指すとした。
再生可能エネルギー、メタンハイドレート、海底熱水鉱床などの調査研究拠点として重要な立地にあることから、県内離島への関連施設の設置を積極的に検討する。海洋政策推進の新たな拠点となる国の「海洋政策センター(仮称)」の構想構築に向けた取り組みも進めるとした。
「自立型経済」の早期実現を
今回の素案にも盛り込まれている「自立型経済」は、長きに渡って議論・提唱され、沖縄が抱え続ける課題の一つの根本と言える。一方で、貧困問題はますます表面化し、教育格差の問題は改善こそされているものの未だに全国と差は大きい。
実施から10年間の将来を描き、今後の県政にも継続性を持って考え方のベースとなる、影響力のある計画となる。沖縄振興計画が国の方針に肉付けするだけではなく、従来よりも「自立型経済」に向けた独自の具体策を打ち出せていれば、県民はもちろん政府や国民に対しても、沖縄振興特別措置法を延長する妥当性が示される。