沖縄振興計画素案発表「日本経済への貢献」前面に
- 2021/6/2
- 政治
「東アジアの重要拠点」
素案を細かくみていくと、まず、施策展開の基本的指針として、「『安全・安心で幸福が実感できる島』の形成」を掲げ①誰一人取り残すことのない優しい社会(社会面)②強くしなやかな自立型経済(経済面)③持続可能な海洋島嶼圏(環境面)―の3つを基本方向に据えている。
また、経済発展が著しいアジア諸国と近いという地理的優位性に加えて、景況や経済成長が全国平均を上回っていることなどから、コロナ禍による打撃から復興した暁には、「再び『東アジアの重要拠点』として、持続可能な経済成長と社会経済の発展に貢献する新たな意義が浮かび上がる」と言及している。沖縄は「日本の南の玄関口」であり、その重要性をあらためて強調した形だ。
また、島しょ県ならではの視点として、「日本の南西端に至る広大な海域の確保に寄与している」として、「海洋立国日本の発展に貢献する独自の可能性がある」としている。
同様に、温暖な気候などの「自然的特性」を、観光資源など多様な価値を創出する可能性がある「ソフトパワーの源泉」であるとしている。これらを活かした“高次元のニーズ”につなげるために、「健康・長寿」「安全・安心」「快適・環境」「教育水準」に対応することで、沖縄が日本全体の更なる発展に向けた推進力になることが謳われている。
沖縄経済の「後進性・従属性」からの脱却
素案では、「基本的課題」が挙げられており、その第1項目に「沖縄経済の重要課題」として、これまでの沖縄経済の成長のあり方について検証されている。その中では、沖縄のこれまでの経済成長について、「需要の拡大によって牽引された経済成長」「外部環境に依存する経済構造」とした上で、「零細性・後進性・従属性が指摘されている」と指摘。沖縄自身の力による経済成長が脆弱であることから、「最大の特徴であり、克服を図るべき体質」としている。
また、開発投資が本島の西海岸に偏る傾向があることから、沖縄の持続可能な成長に向けて、本島東海岸にも注目。東海岸で、中南部から北部に伸びる新たな経済的な背骨となる「東海岸サンライズベルト構想」を盛り込んだものとなっている。
この中では、沖縄アリーナや中城湾港、斎場御嶽、勝連城跡、名護市マルチメディア館・みらい館などを生かして、「西海岸地域とは異なる魅力や強みを発揮することが重要である」とする。目指すは、県土の均衡ある発展だ。
北部圏域及び八重山圏域においては、東・東南アジアの自然史科学の拠点となる「国立沖縄自然史博物館」の県内誘致を通して、沖縄の独自ある自然環境を生かす。