「安全・安心の島・沖縄の実現」目指す 県が観光基本方針案

 
新たな沖縄観光基本方針案について説明する富川副知事=16日、県庁

 富川盛武副知事は16日、県庁で会見し、今後の沖縄観光について長期的な方向性を示す「Withコロナ、Afterコロナ時代の新たな沖縄観光基本方針案」を発表した。同案では、感染防止の水際対策を強化する「安全・安心の島・沖縄の実現」のほか、観光危機管理体制の構築も打ち出した。

 会見で、富川副知事は「観光業界からコロナ収束後の沖縄観光の方向性について多くの質問をいただいた。将来の沖縄観光の1つの方向性を示すため(案を)発表する。コロナ収束後は従前と違った観光政策に転換しなければならず、一定の方向性を示すものと理解いただきたい」と説明した。

 同案では、「安全・安心な島・沖縄」を実現することで観光や経済の復興があるとし、水際対策の強化や医療体制の拡充、検査拡大の推進に取り組むとしている。また、台風や地震、航空機事故、感染症など、さまざまな状況を想定した危機管理体制を運用できるシミュレーションを行い、非常時に迅速かつ的確に対応できるようにするとしている。

 新型コロナウイルスの感染拡大により大きなダメージを受けている県の観光産業については、▽まず経済的打撃を受けた企業に緊急融資や支援金等の止血対策を行う▽感染症の動向を見極めつつ経済的損失を最小化し、落ち込んだ経済からの回復へ転ずる「出口戦略」をとる―とした。

 また、新型コロナの感染拡大前に宮古島などで見られた「オーバーツーリズム」について、沖縄の観光産業は自立型経済の持続可能な発展に貢献し、地元ひいては県民のウェルフェアを高める観光を推進すべきであり、中長期的なスパンで観光収入と環境保持のバランスが取れた持続的発展の観光産業を目指す必要があると強調している。

 さらに、「『量から質への転換』が重要であり、制御、推進、拡充という3つの視点で政策を展開していく必要がある」などとした。

1月入域観光客、前年同月比で8割減

 同日は、1月の入域観光客数が前年同月比80.2%減の14万4000人だったことも発表された。1月として数、率ともに過去最大の落ち込みで、国内客は同73.0%減の14万4000人、外国客は入国制限が続いていることから引き続きゼロとなった。

 入域観光客数は、昨年10月にGoToトラベル事業の対象に東京が加わったことで徐々に上向き、前年同月比で8割減少していた8月から、11月には前年同月比で52.3%減まで回復していた。ただ、新型コロナの感染再拡大で12月は同56.8%減と減少に転じ、今年1月は国や県独自の緊急事態宣言が発出されたことで、下げ幅を広げた。

 県では、2月の国内客について「航空路線での運休、減便規模が拡大していること、国や県独自の緊急事態宣言やGoToトラベル事業の一時停止の継続、プロ野球キャンプの無観客実施などの影響から、厳しい状況が予想される」と予測している。

(記事・写真 宮古毎日新聞)

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