県、爆発的な感染拡大に危機感

 
会見する玉城知事=5月31日、県庁

 玉城デニー知事は31日、県庁で会見し、全国でも突出した沖縄の感染状況や子どもの感染が増えつつある現状を踏まえ、「今一度、自身の行動を振り返って、一層の感染防止に努めてほしい」と県民に呼び掛けた。

 県内の新規感染者数は、ゴールデンウイーク(GW)前の「まん延防止等重点措置」の期間中に徐々に収まりを見せていた。しかし、GW後に感染者数は急激な増加を始め、5月23日からは国の緊急事態宣言が適用されている。

 ただ、宣言適用後も感染拡大には歯止めが掛かっていない。5月29日には過去最多となる335人を記録した。昨年夏に経験した第2波のピーク時に比べて2倍以上となる感染者数で、先行きも見通せない状況だ。

 直近1週間当たりの新規感染者数(人口10万人当たり)は、沖縄は124.83人。感染が猛烈な勢いで拡大していたピーク時の大阪府(5月2日、90.14人)や、東京都(1月11日、90.82人)を大幅に上回り、都道府県2位の北海道(59.09人)の2倍以上と、突出した全国最悪となっている。

 療養状況では、5月後半から自宅療養中や入院・療養等調整中の感染者数が大幅に増える傾向にある。病院で確保できる病床数や宿泊施設での収容可能人数に限りがあることが要因とみられ、自宅療養者数は31日、1140人に達した。

 玉城知事は、31日の会見で、「少しでも医療現場の負担を軽減するため、県では新たな宿泊療養施設の確保に取り組むとともに、今後予想される救急搬送時の入院先の調整に時間を要する事態に備え、一時待機場所の確保に向け検討を行っている」と述べた。

感染拡大阻止で「より強い措置」も

 31日の会見では、記者団から「今後、感染をどう収束させるのか」という趣旨の質問も出た。これに対して、玉城知事は、緊急事態宣言から1週間経過しても新規感染者数が減らない状況を踏まえ、「より強い措置」を取る可能性を示唆した。

 ただ、具体的にどのような措置を行うかについては、「(感染者数の)数字が下がらない以上、人流を抑制する必要があるとはっきりしてくる。それに向けた措置をしっかり取らなければならない」などと述べるに止めた。

 このほか、同日の会見では、学校現場での検査を円滑にするための「学校PCR支援チーム」の設置も明らかになった。学校で陽性者が確認された場合、従来は保健所へ連絡後に検査の調整を行うため時間がかかっていたが、今後は速やかに検査を行えるように改善するという。

 夕方や休日にも接種が受けられる、ワクチン広域接種センターを、中部地区は宜野湾市の沖縄コンベンションセンター、南部地区は那覇市の県立武道館のアリーナ棟に設置することも発表された。

(記事・写真・図 宮古毎日新聞)

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