人々を導く力は言葉の力から生まれる 玉城知事の言葉に違和感

 
玉城デニー知事 写真:宮古毎日新聞社提供

 我が国は未曽有の危機に直面している。平成の御代に経験した東日本大震災をはじめとした多くの大災害、あるいはサリンテロなどの猟奇的事件などの時に感じた危機感以上の危機に直面していると思っているのは私だけではないであろう。

 危機を乗り越えるに際し最も重要なものは指導者の力である。そして、人々を導く力は言葉の力から生まれる。新型コロナという未曽有の危機に直面している沖縄県を指導する玉城デニー知事の言葉に少なからぬ違和感を覚えたので、私は筆を執ることにした。

 その違和感とは、より率直に言うならば「このような時このような言葉遣いでいいのですか?」と思うものである。一度や二度ではない。

事態を軽く見ておられるのかと脱力

 具体的例を紹介する。私は県医師会の担当者としてたびたび新型コロナの対策会議に出席してきた。そこには何度か知事が出席して冒頭のあいさつをなさった。彼のあいさつは決まって次の紋切り型の言葉から始まる。「ハイサイ!グスウヨーチュウウガナビラ」なかなか共通語に訳しにくいのであるが「ヤー!ご出席の皆さん今日お目にかかれてうれしいです」とでもなるかと思う。

 沖縄の言葉を理解しない方々にはどうでもいい話かもしれないが、私のような沖縄方言の中で育った者にはとても強い違和感がある。少なくとも危機に対処するにあたって如何にあるべきか検討する時に発する言葉ではない。とりわけ「ハイサイ!」は、沖縄の言葉を理解できない方でも喜納昌吉の歌が示すような軽い言葉だというのは分かっていただけると思う。会議の冒頭にその言葉を投げかけられると、私は知事が事態を軽く見ておられるのかと力が抜けてしまう。

 以上のことは私だけの感じ方で、あるいはどうでもよいことかもしれない。しかし、去年の連休前の4月28日、「皆さんの愛する沖縄を守るため、どうか今は来県や帰省を我慢してほしい」と、県政史上初めて来県自粛を求めるに近い、強い呼びかけをしたことは、そうも言っておられない。

 私は県内観光業者と何度か意見交換をする機会があったのだが、来県自粛ともなれば、彼らは甚大な被害が発生することになる。それなのに観光業者と十分な調整もなく唐突に知事がこのような表明をしたと相当の不満があるようだった。沖縄の基幹産業は観光である。知事としていかほどの覚悟と根拠に基づいての発言であったか気になる。いずれにしろ被害が発生する業者とは補償等の調整は密に行っておくべきだったと思うがそれがなかった。

 全ての人にとって初めての経験なので何が正しいことかというのをはっきりと決めることはできない。そのような状況であるからこそ関係する方々(医療関係者だけではない)、少なくとも損失の出る方々へはしっかりとした説明が必要であったと思う。

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