差別と貧困の撲滅目指す服飾ブランド「PWP」名護から世界へ

 


 また、現在米軍基地内のジムに勤務する城間さんが受付業務に携わっているときも、利用者からあからさまに不当な扱いを受けたことがあった。「思い込みもあるかもしれませんが、少数の人はアジア人だから下に見ている、というのは確かにあると思います」と話す。
 それでも強調したいのは「『この国の人だから、こんな人』というふうに決めつけてほしくない」ということだ。「当然、アメリカ人にも日本人にも、いい人悪い人はいます。ただ、国の違いや肌の色でステレオタイプがある現状を変えたいと思っています」

目標は海外展開

 城間さんが自身を思い返した時「小学生の時からよくサッカーのユニフォームの絵を描いて遊んでいた」という。服が好きで、もともとカッコいい服を作りたいとも思っていた。服への興味は今までずっと尽きない。「服に関することを通したら、自分も楽しみながら差別や貧困をなくす活動を続けることができると思いました」と、継続して取り組むための光が見えた。

 ブランドは立ち上げたばかりで、世の中を大きく動かすほどの資金力は今のところないかもしれないが「いずれ子ども食堂を地元の名護から始めたいです。炊き出しなどもしていくつもりです。この動きをどんどん広げていって、海外で活動できる規模まで持っていきたいと思っています」と話す城間さん。柔らかな語り口の中に芯の強さが垣間見える。利益が安定して認知度が広がったら、現在のオンライン販売に加えて、店舗での販売も計画している。

PWPのインスタグラム

エシカル消費で社会に貢献

 PWPのように、商品やサービスの購入を通して、人や社会、環境に貢献する消費の在り方「エシカル消費」が注目を集めている。エシカルとは英語で「倫理的な」という意味だ。消費者庁も普及啓発活動に乗り出しており、今年度に入ってからは一般向けのパンフレットや、指導者向けの解説書を制作、ウェブサイト上でも公開している。
 自分だけではなく、誰かのためにも消費を―。城間さんは、自らが心躍る服を作り、買った人も満足してもらい、その利益で貧困問題の解消や差別問題の啓発などにつなげる“関わる人みんなが幸せになるブランド”を目指して奔走する。


PWPウェブサイト
https://whiteokinawa.thebase.in/
PWPインスタグラム
https://www.instagram.com/pwp_2020_official/?hl=ja

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長濱 良起

投稿者記事一覧

フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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