待たれる観光産業への直接給付 「産業全体をどう守っていくのか」

 
意見交換では観光関連団体から不満が相次いだ

 夜間の飲食店の営業については、まん延防止措置が適用された12日夜に国際通りを歩いたという県ホテル協会の坂本公敏副会長が意見した。「開店している店があり、店内は密状態、大声で騒いでいる人もいた」。県が飲食店の巡回を開始している状況も踏まえて「例えば行政指導などはできないのか。営業している店を見逃したままだと、まじめに守っているところがバカをみているようなことになる」と指摘し、その上で「沖縄県の対応は他県と比べて遅れている部分もあるので、条例制定も視野に入れた対応をしてもらいたい」と訴えた。

 そのほか、本来は小売・飲食・宿泊施設などへのサポートだった「ハピ・トク沖縄クーポン」が、大型スーパーやコンビニエンスストアなどでも使えるようになり「あまり売り上げが落ちていないスーパーなどで主に使われている傾向がある。最大の目的であった小売やホテルで使ってもらうように工夫するのが本来の在り方なのではないか」との声も上がった。

観光客は60%減、修学旅行キャンセルも

 県文化観光スポーツ部の宮城嗣吉部長は、直接給付や事業規模別の支援策などについて「観光業界が沖縄の産業に寄与している度合いからすると、予算規模が小さいということに対しては県の取り組みが強く求められている。機動的な予算措置ができるように内部調整を進めているところだ」とした。

 OCVBの下地芳郎会長は「これまでの観光面での対策が主に需要喚起策として引っ張っている部分については、意識を変える必要がある。観光産業全体への支援という面から新たな対策を打ち出していけるように取り組んでいきたい」と話した。

事業者の意見を受け止めるOCVBと県の関係者

 入域観光客数の予測についてOCVBは、コロナ前の2019年度に比して4月は40%(340,560人)、5月は45%(375,705人)、6月は60%(520,920人)とし、担当者は「この2週間でかなり落ち込んできている」と説明。特に4、5月についてはOCVBの入域目標には届かない見通しという。また、県内ホテル予約状況についても「キャンセルが相次いでいる」。19年度比で4月は35.8%、5月は41.6%、6月は37.9%で「まん延防止措置の影響もあり、今後さらに厳しくなる可能性は否めない」と懸念を示した。
 さらに、まん延防止措置を受け、県外から修学旅行に訪れる学校からキャンセルが出始めている現状にも触れ、担当者は「現状決まっている学校に対してのオンライン対応なども含め、安心して沖縄にきてもらえるように積極的に関わっていきたい」とした。

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真栄城 潤一

投稿者記事一覧

1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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