沖縄県の「気候非常事態宣言」実現に働きかけた市民活動
- 2021/4/14
- 社会
世界中で地球温暖化や気候変動への危機感が高まっている中、玉城デニー県知事が3月26日、「気候非常事態宣言」を行った。現状を非常事態と認識し、2050年までに県内の温室効果ガスの排出ゼロを目指す行動計画を立案するほか、県民に温暖化防止への取り組みを促すものだ。その実現に向けて、行政や市民の意識啓発や、意見交換会の実施、県議会に陳情書を提出するなど尽力してきたのが、県内の有志で結成された団体「CED(気候非常事態宣言)を出そう!沖縄」(八重瀬町、共同代表者・神谷美由希さん、鹿谷麻夕さん)だ。発足した背景や「気候非常事態宣言」表明に働きかけてきた道のりを紹介する。
市民団体「CEDを出そう!沖縄」設立のきっかけ
都道府県による宣言は、長野県、神奈川県、東京都、岩手県、北海道に次ぐ、全国6番目となる。活動の発端は、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん(17)が2018年に一人でストックホルムの議会前に座り込み、地球温暖化への明確な対策を求める抗議から始まった世界的なムーブメントだ。
ヨーロッパや米国などで地球温暖化に危機感を示す若者がグレタさんに触発され、世界約156ヵ国で地球温暖化対策を訴える「世界気候ストライキ」が国連気候行動サミット2019の前に同時開催された。共同代表者の神谷美由希さん(30)=那覇市出身=は、環境活動家の谷口たかひささんから影響を受けて、日本国内の主会場の一つである大阪会場のデモに参加した。
その後、一人一人が行動に移す重要性を訴えるため、那覇市でデモの報告会を実施。「沖縄も自然災害の脅威が増している。私たちが変わろう」と伝えると、その場で同様に関心を寄せていた上川内理紗さん(34)らと知り合い、一緒に活動しようと意気投合。その後、専門家の助言を探す中で環境教育に長く関わる専門家の鹿谷麻夕さん(52)に出会い、気候変動対策に取り組む団体「CED(気候非常事態宣言)を出そう!沖縄」を結成した。
県議会や県行政、市町村に働き掛ける
団体の目的は、沖縄県の「気候非常事態宣言」の実現だった。世界では、1800を超える自治体や国が宣言を行っているが、県内ではゼロだった。神谷さんらは、温暖化の現状や今後予想される異常気象や自然災害、海外の先進的取り組みを勉強し、県に宣言を求め、署名活動と県議会へ提出する陳情書作りを始めた。