野外サウナ×リゾートホテル オフ期の魅力、鍵は「冷水プール」

 

 沖縄にも、それなりに寒い冬はある。県内のリゾートホテルではこれまで、冬の屋外プールに人が入って泳ぐことを想定していなかったが、画期的な利用方法が編み出された。それは「サウナ後の冷水」だ。
 カヌチャリゾートを運営するカヌチャベイリゾート(名護市)と、広告プロモーション、イベント企画などを行うエイド・ディーシーシー(大阪市)はことし1月から、体験型サウナヴィレッジ「Δ℃℃ ZONE(アッチッチゾーン)」を展開している。
 利用者はこれでもかというほど体を温めた後に、目の前の「冬のプール」に飛び込む。水温は20度ほどで、ちょうどサウナの水風呂と同じぐらいだ。まさにうってつけの環境が冬の沖縄にあった。

求められてきた冬の観光コンテンツ

 プールを取り囲むようにビーチサイドにテントサウナを9基設置。1基あたり最大6人で楽しめる。利用料は1台6000円(税別)~。新型コロナウイルスの影響で実施曜日や時間に変動があるものの、2月23日現在で5月5日までの開催となっている。2月25日にはサウナ付き宿泊プランが公開され、ホテルとしての商品化にも本腰を入れる。

 海が近いため波音が聴こえ、時間と共に光が変化する琉球ガラスの照明が沖縄ならではの野外サウナを演出する。“サウナ音楽家”のとくさしけんご氏がこのイベントに合わせて手掛けた環境音楽が心を落ち着ける。

 「Δ℃℃」のΔ(デルタ)と℃(摂氏)を並べて、アッチッチと読ませる。2つの記号とも熱量の単位をしても用いられ、燃え上がるような灼熱のイメージを持たせた。

 「プールを資源として生かす方法を考えました」と話すエイド・ディーシーシーのプロデューサー・佐々木駿さんは、フィンランドでサウナ巡りをするほどサウナが大好きだ。「外が寒ければ寒いほどサウナ好きにとってはたまりません。ライフセーバーがいれば海でも同様のことができます」と、今後の可能性を見据える。

 沖縄県がコロナ前から取り組んできた課題として、月別観光客数の平準化がある。カヌチャベイリゾートの嘉陽宗一郎さんは「ずっと冬や夜のコンテンツが求められていました。冬のプールサイドで新しいものを作り出せるのはとても魅力的です」と期待感を示す。

カヌチャベイリゾートの嘉陽宗一郎さん(左)とエイド・ディーシーシーの佐々木駿さん(右)
テントサウナ内部の様子(着衣で)

実際に入ってみた

 実際にテントサウナにお邪魔させてもらった。サウナ玄人、佐々木さんとの裸の付き合いだ。

 佐々木さん「この、サウナの暑い(熱い)のと、プールに飛び込んだ時の冷たいのを何度か繰り返していくうちに、体の感覚がズレて来て、ずっとポカポカ温かいんですよね」

 筆者「なんか、最初は冷水怖かったんですけど、何度かやってるうちに病みつきなりますね。佐々木さん、地元どんなトコなんですか?」

 トークが弾むのだ。サウナで同じ熱さを体感している同志感が生まれるだけではなく、キャンプで同じテントに入っているワクワク感も同時に味わえる。これができるのも、プールの水が冷たくなっている季節のうちだ。

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長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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