出生率全国一の金武町 子育て施策に自信あり

 
金武町役場

 日本の市町村で一番子だくさんとされる町が、沖縄にある。金武町だ。厚生労働省が2020年に発表した資料によると、2013年から17年の合計特殊出生率(1人の女性が一生のうちに産む子どもの数の平均)が2.47だった。
 金武町はなぜ出生率が高いのか。金武町役場保健福祉課の担当者は「子育て支援系の施策は県内断トツだと自負しています」と胸を張る。

県内唯一「子育て奨励金」

 同じ資料では、沖縄県内からは4位に宮古島市(2.35)、5位に南大東村(2.30)、6位に宜野座村(2.29)、10位に南風原町(2.22)が名を連ねた。その他トップ10には奄美群島の4町が入っている。

 5年ごとに発表される合計特殊出生率の市町村別調査で金武町は、2003年からの5年間では1.94(22位)だったが、それ以降は順位も数値も上昇を続けて、ついに全国一となった。

 2006年に開始した「子育て激励金」は県内でも金武町だけが実施する取り組みだという。出生児1人につき、保護者に10万円が支給されるもので、出産後などの経済的な負担を軽減する。

 同年にはさらに「虫歯予防奨励金」も開始。3歳児健診時に虫歯がゼロだった場合に3万円が支給されるものだ。効果は抜群で、2004年には3歳児の虫歯率は63.9%と県内でもかなり多い方だったというが、2015年には13.5%と、県内でも2番目に少ない水準にまで改善された。これにより虫歯予防奨励金を受ける3歳児の割合が大半になってきたことで、さらに事業効果を高めるべく、現在では3歳時と5歳時の2度に分けて計3万円を支給する方法に変えた。

 この両事業は町の一般財源で長らく実施されてきたが、2010年から特定防衛施設周辺整備調整交付金がソフト事業にも使えるようになったことを受けて活用している。

 担当者は「2003年前後は不況の影響もあり少子化がクローズアップされてきた時期で、町としては高齢者だけではなく子育て世代への施策も強化しようとの動きがありました」と話す。

妊娠、出産、育児まで

 金武町がとりわけ力を入れる分野が、不妊治療の助成だ。沖縄県全体の特定不妊治療費助成は対象が43歳未満で、回数の制限もあるが、金武町独自の助成事業においてはそれらの制限を設けていない。これまで申請した183人のうち53人が妊娠に至った。

 妊娠はするけども着床しないという夫婦を対象にした「不育治療」の助成も本年度から新たに取り組んでおり、県内でも珍しい先進的な例といえる。

 子どもが生まれた後の医療費助成にも力を入れる。担当者は「県が3歳までだったら町は5歳まで、ですとか、県が就学前までだったら町は中学生まで、というように、県よりも進んだ取り組みを維持してきました。2014年からは18歳以下の医療費が完全無料になっています」と説明する。県全体としては2022年度から医療費の実質無料化を中学校卒業までに引き上げる予定だ。

 担当者は力強く言い切る。「子育て支援には町として力を入れているのは間違いありません。先にこちらが取り組んでいたことに、後から制度が追いついていきます」。現在では、金武町と同様に医療費無料を「18歳到達後最初の3月31日(高校卒業)まで」としているのは、金武町を含めて本島北部や離島で11市町村ある。

 助成金支給申請を事前にする必要がない「自動償還」や給食費の無料化も早期に実施したという。並里区在住で5歳の息子がいるという男性は、町の子育て関係の施策について「もう金武町以外に住めないですよ」とかなり満足している様子だ。息子にはぜんそくがあり、毎日のように病院に行っていたという。「自動償還には助けられました。医療費は無料なので、かかる費用は薬の容器代ぐらいです」と喜んでいた。

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長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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