FEC、国際通りに配信スタジオ 芸人活躍新時代 一般利用も
- 2021/2/25
- エンタメ・スポーツ
今年旗揚げ28年目を迎える有限会社FECオフィス(那覇市、山城智二代表)が今月、自社と隣接するスペースで、動画配信・録音専用スタジオの「国際通りバサナイスタジオ」を開設した。コロナ禍で観客を集めての公演が厳しい昨今、所属芸人の活躍の場を確保するだけでなく、情報発信の場として一般にも広く利用を呼び掛けている。
意義と可能性について、演芸集団FEC団長であり、お笑いコンビ‘ハンサム’の仲座健太氏に聞いた。
気軽な配信拠点 芸人も企業も一般も
国際通りバサナイスタジオでは、企業の通信販売や一般向けのコンテンツ発信の場として活用を呼び掛ける。FECが運営するYouTubeチャンネル『ちゃんねるFEC』内での配信や出張配信も可能だ。企画段階からの相談もできる。
現在、オープン記念価格として、配信スタジオは1時間3,000円~、録音スタジオは3時間6,000円~で提供している。
バサナイとは沖縄の方言でバナナの意味。たくさんの沖縄のコンテンツの実がなるバナナの様な存在になれたらという思いがスタジオの名称に込められている。
「ネタを披露し続けることが大事」
観客と演者で、空気を共有することが前提だったエンタメ界。昨年から続くコロナ禍で、県内のお笑いシーンも苦しい現状を受忍し続ける日々だ。
「コロナ禍で事務所の定期ライブも中止になってしまいました。売れていなくてバイトしていようが月一回の舞台は、芸人という肩書きを保つことができる場所なんです。そのセーフティネットのような場所が、まさか出来なくなるとは想像もしていなかった。お客さんの前でネタを磨くことができない、その精神的なキツさはありましたね」
それでも、「どんな状況であれネタを披露し続けることが大事だ」と考え、配信ライブに舵を切った。
「漫才やコントをしている姿を見せることに意味があると思いました。『このご時世、お笑いすらもできないんだ…』というムードにさせたくなかったんです。停滞させずに継続することで、沖縄の芸能の下支えが出来たらという想いです。県外のお客さんも観てくれているので、層が広がることに期待しています」
配信事業に活路、ライブ動画での販売も
何かを始めないといけない─。そんな思いとは裏腹に、企画当初は困惑もあったと話す。
「当初、スタジオ運営の話が出た時には、何もこんな苦しい状況の時にやることなのか、そもそも芸人は人前に出るのが仕事だという思いもあり、自分自身は賛成・反対のどちらでも無く、ただピンと来ていなかったんです。
しかし、代表の山城智二は『配信は新たな活路がある』とビジネスとしての可能性を掴んでいました。これまでも、動画コンテンツへの出演や制作の依頼が単発では来ていましたが、そこを一括で請け負える仕組みを整えることで幅が出ると考えていたようです」
現在まで、ネタ動画だけではなく芸人が動画で県産品をPRしてネット上で販売まで行う「ライブコマース(ライブ動画での販売)」も展開している。コロナ禍で模索していく中で、実演販売や観光ガイドなどの異業種とのコラボレーションも増えた。
「芸人は面白いことを考えることが仕事ですけど、配信で得たスキルをいかに社会の多くのジャンルに組み込んでいくか。事務所のメンバー全員で新しいことに挑戦している感覚があって、今は楽しみの方が大きいです」
ロゴに込めた「沖縄から世界へ」
スタジオのロゴは、ワーナーブラザーズ・ウォルトディズニーアニメーションスタジオ・ピクサー」などハリウッドで20年以上活躍する県出身のCGデザイナー糸数弘樹氏が制作した。沖縄の事務所であることにこだわるFECと、沖縄のために貢献したいと考えていた糸数さんの想いが合致したという。スタジオの目標は“沖縄から世界へ”。世界中を笑顔にしていく。