「もっと突き詰めないと」劉衛流の池田、予選敗退で得たモノ 空手国際大会

 
自信のある「オーハンダイ」で気合の声を発する池田竜晟=6月10日、福岡国際センター(長嶺真輝撮影)

 約50の国・地域から世界最高峰の選手が一堂に会した空手の国際大会「KARATE1 プレミアリーグ」は10日、福岡国際センターで大会第2日を行い、沖縄から男子形に出場した池田竜晟(興南高校ー沖縄国際大学卒、劉衛流龍鳳会、世界ランキング24位)は予選ラウンド1勝2敗で準々決勝進出を逃した。初の金メダル獲得を目標に臨んだが、世界の高い壁に阻まれる悔しい結果となった。

 4年ぶりの日本開催となったプレミアリーグ。男子形には31人が出場し、3~4人ずつの8グループに分かれて予選ラウンドを実施。総当たり戦を行い、グループ1位の8人が11日の準々決勝に進んだ。

レジェンド喜友名らが“鼓舞”

 「思い切りやってこい」

 試合前日の会場。調整で稽古をしていた池田を鼓舞したのは、解説の仕事で同じく会場入りしていた同門の先輩である喜友名諒だ。プレミアリーグで金メダル獲得19回という偉業はギネス記録に認定されている。今年1月に競技を引退した日本空手界のレジェンドからの一声で、スイッチが入った。「前日に喜友名先輩に会えたことで、めちゃめちゃ気合が入りました」

 その他、日々稽古をつけてもらっている師匠の佐久本嗣男氏や清水由佳氏、地元・茨城県で教えてもらっていた先生からも電話などでエールをもらったという。

1試合目に自信のオーハンダイ「力は出せた」

迫力ある演武を披露する池田

 心身が充実した状態で大一番に臨んだ池田の初戦の相手は、東京五輪銅メダリストの名手、アリエル・トレスグティエレス(米国、世界ランキング2位)。これまでプレミアリーグで2度対戦したことがあり、一度目は自身の過去最高成績である銅メダルを獲得した2021年10月のモスクワ大会の3位決定戦で当たり、池田に軍配が上がった。2022年9月のアゼルバイジャン大会でも3位決定戦でぶつかり、この時は敗れた。

 好敵手を相手に、池田が選んだ形は「自分の中で一番精度が高い」と自信を持つ、難易度の高いオーハンダイだった。モスクワ大会でトレスグティエレスを破った際に打った形でもあり、「今回の勝負どころは初戦だと思っていたので、一発目に一番いいものを持ってきました」

 体の前で両拳を握り、深く吸った息を吐いて集中力を高める。緩やかな動きから一転、劉衛流の極意である「一足二拳」の間合いで素早い動作へ。時折気合の声を発しながら、次々と拳や蹴りを繰り出して迫力ある演武を披露した。

東京五輪で銅メダルを獲得した名手のアリエル・トレスグティエレス

 「自分なりに、沖縄での稽古で積み上げてきた力は出し切りました」と出来は上々だったが、結果は40.7対41.7で敗北。オーハンを使ったクエートの選手との2試合目は40.1対38.2で勝利したが、アーナンダイを披露した最終第3試合は同じ日本の本龍二(世界ランキング30位)に40.5対41.0で惜敗した。

 予選ラウンドの全ての形で高得点である40点台を揃え、トップクラスに位置していることは示したが、ハイレベルなグループに入ったこともあり、予選ラウンドの順位は4人中3位に終わった。

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