「もっと突き詰めないと」劉衛流の池田、予選敗退で得たモノ 空手国際大会

 

汗だくで「すみません」 敗北を成長の糧に

1試合目終了後、トレスグティエレス(左)と握手する池田

 予選終了直後、汗だくのまま筆者の取材に応じた池田。第一声で「せっかく沖縄から来てくれたのに、すみません」と語り、悔しそうな表情を浮かべたが、ハキハキとした語り口でこう続けた。

 「演武では稽古の成果を出せました。ただ、結果には全く満足してません。今回の結果をしっかり受け止め、前向きに進んでいきたいと思います」

 プレミアリーグを19度制し、東京五輪金メダル、世界選手権4連覇と輝かしい経歴を積み重ねた喜友名も、初めから世界で勝てた訳ではない。悔しい経験で得た課題と向き合い、稽古を重ねて一つずつ改善し、強さを増していった。池田も今回の負けをしっかりと成長の糧にしようとしている。

 「世界で戦うためには、スピードや瞬発力、パワーなど、磨くべきところはいろいろあります。もちろん体が大きければ見栄えもいいので、そういう部分も強化したいです。細かい形の打ち方には自分の内面性も現れるので、日々の私生活から、周囲への細かい気配りなどを追求し、武道家らしい人間になりたいです。先輩たちがやってきた劉衛流の演武を表現したいので、もっといろいろな部分を突き詰めていかないといけないと痛感しました」

「勝手に茨城と沖縄を背負ってます」

引き締まった表情を見せる池田。今後の成長が期待される

 多くの世界トップクラスの選手を輩出してきた劉衛流に憧れ、興南高校に進学すると同時に地元を離れて今年で10年目になる。「勝手に茨城と沖縄を背負って戦ってます」と笑う。人生の半分近くを過ごしてきた沖縄は、既に“第二の故郷”だ。

 「茨城で教えてもらった先生たち、そして沖縄で指導してもらっている先生たちがいてこそ、今の自分があります。その感謝は絶対に忘れない。まだ恩返しができてないので、しっかり今後の大会で結果を出し、恩返しがしたいです。そして、人間的にも成長したね、と言われるような空手家になりたいです」

 引き続き国内外の大会に出場し、今年9月にはアイルランドで開かれる次のプレミアリーグにも参戦予定。24歳。形の選手としてはまだ若い。貪欲に成長を求める一空手家の世界一への挑戦は、これからも続いていく。

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長嶺 真輝

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ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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