宿泊・観光業が「取り残されている」 コロナ禍で続く沖縄経済の正念場

 

どうしても出る支援の偏り

 県は全ての業種に対して「水平、公平」な支援を掲げてはいるが、宿泊業だけでみても経営の規模や形態に大小含めた相違が多々あり、救済措置となる県や国の「彩発見」や「Goto」などのキャンペーンでも、どうしてもある程度の偏りが発生する。
 ここにさらに、維持費が膨大なバスやレンタカーの稼働、観光と地元との需要の棲み分けがある飲食業といった要素も複合的に絡み合うため、本当の意味での公平性を担保するためには観光現場の細かな部分まで現状把握が不可欠となる。

 しかし、そうした実情を踏まえた流れは未だできていないのが現実だ。中村さんはこれまでの県の対応について「市場の動きに無頓着すぎる」と厳しく指摘する。

宿泊業の厳しい現状について語る中村聡さん

疲弊する観光関係者、受け入れ体制は

 現在懸念していることが大きく2つあるという。

 1点目は今後観光も含めて再び人が大きく動き出すタイミングがいつになり、その受け入れ体制をどう整えていくかということ。「一部の航空便ではもうすでに動き出しているという話もある。県外の緊急事態宣言が解除されて、さらにGotoのようなキャンペーンが行われた場合には“席取り合戦”が始まるだろう。ただでさえ疲弊しているところに殺到することを見越して、それなりの準備が必要だ」

 そして2点目は、従業員のメンタルケアだ。「1つ目の観光関係者の疲弊にもつがる部分があるが、お客さんが来なくなって人とのコミュニケーションが減ってしまった分、精神的に参ってしまう人も一定数いる」。新入社員として宿泊施設で働くことが決まっていたが、コロナで人の動きが止まったために内定が取り消されたとの話もあるという。
 緊急事態宣言が解除されて人の移動が始まっても、対応する人材も含めた受け入れ体制が構築できていなければ、経済再興の道のりは遠い。

 国内でもワクチン接種が始まってはいるが、収束の目処はまだまだたたない。長期化するコロナ禍で、医療的側面と経済的側面の“両輪”を回して県民の命を守ることができるか。正念場が続く。

◆沖縄県ホテル旅館生活衛生同業組合のWEBサイトはコチラ

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真栄城 潤一

投稿者記事一覧

1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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