終わらないコロナ禍 売上95%減苦境の只中での気付き セイワ食品

 

 これまでにはなかった横のつながりも生まれた。「自分も苦しいから、みんなが苦しいのも分かる。これまでは交わってこなかった色んな業者さんと話す機会が増えた」という。同じ浦添市で会社も近い「ブエノチキン」とコラボレーションして、チキンともずくうどんとのパッケージ商品がブエノチキンのオンライン販売のラインナップに並んだ。「応援企画ということで大きな助けになっていて、とても感謝している」

 儀間さんも助け合いの実践として、まだ店舗を再開できていないテナントの商品を預かって、自社の店頭で販売の手伝いをしている。「助けになるのは、ほんの少しかもしれないけど」

「もずくうどん」の在庫管理をする儀間さん(本人提供)

「前に進んでいくしかない」

 行政の支援を受ける中で、様々な課題や不便さも実感した。

 「支援でお金を出すと大きく打ち出してはいるが、実際手続きを進めるとあやふやな部分や煩雑な部分があって、はじかれることもあった。そもそも補助金の存在自体を知らない人もまだ相当数いるんじゃないかと思う。大変な事態で、行政も対応に四苦八苦しているのは分かるが、必要な所にスムーズに行き渡るように、ある程度は柔らかく緩く対応していくことも検討してもらいたい」

 また、IT導入補助金などについて行政側からのアプローチはあるものの、そもそも事業者側に「ITについての知識やスキルが圧倒的に不足している」現状についても指摘し「もう少し踏み込んだサポートをしてほしい」と話した。

 「売上が落ち込んだ中でも今は販売できているので、まだ良い方」と語る儀間さん。しかし、年明けの展望もまだ見えてはこず「最悪の状況であることは変わらない」。コロナ禍で浮き上がってきた“新しい課題”に向き合う日々だ。

 「今は観光だけじゃなくて、地元の人たちにも知ってもらうことの必要性を感じていて、そこにも注力していきたい。できるうちは、とにかく前に進んでいくしかない。2~3年後か何年後になるか分からないが、新型コロナが考える大きなきっかけになったよな、と笑って話すことができるように」

店頭で試食販売する儀間さん(右、本人提供)

<セイワ食品のHP>
http://mozukuudon.com/

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真栄城 潤一

投稿者記事一覧

1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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