終わらないコロナ禍 売上95%減苦境の只中での気付き セイワ食品
- 2020/12/25
- 新型コロナ・医療
未だ収束の見通しが立たない新型コロナウイルスの感染拡大。全国、全世界的に各方面でさまざまな影響が出ている中、観光産業を経済の主軸にする沖縄も大きな打撃を受けている。県内北部から南部まで5店舗を展開し、主に観光客向けに「もずくうどん」を販売するセイワ食品(浦添市)は、新型コロナの影響で4月から7月にかけて全店舗を休業せざるをない状況に追い込まれた。
企画・営業を務める儀間義政さんは「正直言って、今もまだ先行きは全然見えてこない状況」と厳しい表情で話す。それでも、楽観できない現実を受け止めながら「販売の仕方やあり方について、今までやってこなかったこと、やれてなかったことをするようにしている」とコロナ禍での営業の形を模索し続けている。
しのぎ続けるしかない現状
「今年の3月に入ってから売上が半分ぐらいになって、4月の緊急事態宣言で全店舗閉めざるを得なくなった。それから7月まで休業というか、感覚としてはほぼ“閉鎖”という状態。4月から売ることができてないので、売上は95%ダウンした。もうこんな状態なので前年と比べるのもどうかと思うけどね」
8月に1店舗が再開、続いて10月には2店舗が稼働し始めたが、残りの2店舗は休業したままだ。11月には「Go to キャンペーン」で多少の客入りはあったが、それでも「ないよりはマシ」な程度。セイワ食品は観光関連施設内テナントで店舗を営業しているため、家賃などの固定費が大きな負担とはならなかったが、助成金と借り入れで人件費を補った。「その場をしのぐという形で何とか続けている状況」だという。
普段は店頭でもずくうどんの試食を呼びかけながら接客していたため、店舗が閉まった時には精神的に堪えた。「誰とも会えないし、外にも出られないので、店頭販売メインでやってきた身としては、お客さんと話する時間も場所もなくなるのは非常に寂しい思いだった」と振り返る。売り場を開けられない状態が続き、仕事を変えることも考えたという。「違う業種にしようかとか、とりあえずスーパーで働いてみようかなとか、そんなことも考えていた」
苦しい中で見えてきたもの
売上が激減した中で、唯一動いていたのはネット通販だった。全体で言えば5%程度で、コロナ以前の通常時に比べれば「回復というには全然程遠い」。しかしそれでも、徐々に20~30%まで数字を上げていくため、地道にできることを積み重ねている。
メイン商品のもずくうどんは乾麺のため、ある程度保存がきく。国産の小麦に伊平屋島産の生もずくを練り込み、無添加で仕上げている。食品として安全でヘルシーで、なおかつ麺は子どもから大人まで全世代に受け入れられやすいこともあり、アピールできる部分を押し出して自主的に発信を始めた。
「今までは店に来てくれる観光客の皆さんに対して、買ってくれてありがとう、という売り場だけでの関係性で終わってしまっていた。でもコロナになったことで、観光とは違う方面での販促を考えざるをえない状況になった。これまで見えてなかったものが見えてきた」
10月からはLINEの公式アカウントも作成し、現在登録者の数は400人を超えている。情報を発信していく中で「通販頑張って」「沖縄に行ったら買いに行きます」などのコメントも届くようになり「涙が出るほどうれしかった」と表情を和らげた。