食品を直接消毒で県物流“世界的優位性”を 津梁貿易の金城拓真氏が提言
- 2020/10/14
- 経済
揺らぐ「国際物流拠点」
沖縄県は新たなリーディング産業の3本柱として、観光リゾート産業、情報通信関連産業に加えて「国際物流拠点の形成」を掲げている。特に那覇空港では、国内のどこよりも中国や台湾、東南アジアなどに近い立地を生かし、2009年のANA国際貨物ハブを皮切りに、国際物流特区の創設・拡大、アジア各国へ沖縄経由での最短配送など物流に力を注いできた。那覇空港の第二滑走路がことし3月に供用を開始したのもこの取り組みの一環だ。
しかし前述の通り、昨今の新型コロナウイルスの影響でこれらの取り組みを覆すかのように国際貨物が全てストップしてしまった。耳にする機会が増えた「Withコロナ」「ニューノーマル」という概念が指し示すように、航空での国際物流が再開したとしても、いかに安心安全を担保できるかは今後の課題として続きそうだ。
「沖縄のために」
沖縄から飛び出してアフリカを中心に成功を収めている金城氏の行動原理には「沖縄のために」という視点がある。「世界に出た人って『希望を胸に』っていうイメージがあると思うんですよ。たしかに最初はそういう気持ちで海外に出ていくのだと思いますが、いずれ自分のベースを作ってくれた生まれ故郷への感謝が出てきます。何か物事を判断する時には沖縄で育まれたからこその価値観があるのだと思います」
一時期、沖縄の新型コロナ陽性者数が人口比で全国一という状況が続くのを見て、何か力になれないかとの思いに駆られていた。「喫緊の課題としては子どもや高齢者が安心して生活してもらえるように、こども園や介護施設などにこの『過酢酸製剤』をとにかく広めていきたいです」と金城氏は話す。県内ではすでに金武町役場が導入を開始し、公共施設などの消毒殺菌に利用しているという。今後は北中城村社会福祉協議会でも導入が進む予定だという。
沖縄への恩返しの一つとして形作ろうとしているのが、消毒や殺菌を通した県経済の活性化と暮らしの安心だ。「自分が今まで培ってきた(人的な)つながりを活かして沖縄の一助となれたら、というのが常に頭にあります」