バーのオーナー15人 副業で経営者 自由な働き方で自己実現
- 2020/10/14
- 経済
コロナ禍で従来型の働き方が見直され、社員の副業(複業)を認める企業も増加傾向にある中、県内のさまざまな業種で働く15人のメンバーが出資し合い、共同オーナーとして経営するバー「NO NAME」が那覇市泉崎に10日1日、オープンした。発起人で株式会社バンズプラス社長・下地正浩さんは「せっかく副業するなら経営した方が面白い」と話し、仲間同士で新しい経験を共有する。ローリスクローリターンで経営できる自由な空間は、多くの出会いを生み出しながら、オーナー個々の目標達成を後押しする。
自由な副業で自己実現を
泉崎の飲食店が多く入居するビルの一室。バーカウンターには気の知れた仲間同士が集っていた。実は彼らは全員がこの店のオーナーだ。共同オーナーは、30代と40代の男女計15人。職種は不動産業、人材派遣業、ライター業などと多岐に渡る。グルメサイトを運営する下地さんと仕事を通して知り合ったメンバーが主だ。下地さんは、この「共同経営バー」の構想をオープンまでの数カ月間、練っていた。飲食業に挑戦してみたいという従業員・浜崎陵さんの存在が、きっかけの一つだった。
「(コロナ禍以前から)もともと社員に対して副業は推奨していました。副業として夜にアルバイトで働いている人が多かったのですが、どうせ副業するなら経営した方が面白いだろうし、本人のレベルアップにもつながるのではないかと思っていました」
さらに、コロナ禍で会社員は“副業”や“テレワーク”などの言葉に触れ始めることとなり、「これまでと違った働き方」を意識する場面も増えてきた。下地さんは「(会社員の人が)今後の人生を考えるいい機会になったのではないかと思うんですよね」と思いを巡らせる。
このような経緯で店長となった浜崎さん。昼はバンズプラスの営業職として、夜はNO NAMEの店長として楽しさを提供する。派手なアロハシャツがよく似合う明るい人柄だ。足掛け約10年間の豊富な飲食業経験があり「もともと店長をやってみたかった」と話す。副業を自由にできる環境こそが、自分らしさの発揮につながっている。
15人で生む相乗効果
「僕が飲みたいだけなんですけどね」。下地さんは気負いなく、笑う。
NO NAMEは単なるバーとしての役割にとどまらない。それぞれのメンバーが、それぞれのやりたいことを実行する「多目的スペース」だ。必ずしも夜に来てお酒を飲む必要はない。例えば、朝に来て勉強しても、昼に来て打ち合わせをしても自由だ。
「15人オーナーがいたら、15通りの色が出ます。カメレオン色、というか。なのでどんな空間にでも変化できます」
自由度が高く、定義のしようがないお店。店名が「NO NAME」たるゆえんでもある。