「ゲームが大好きで作りたい!」という情熱が今求められている 「ちゅらっぷす」代表取締役社長・中山法夫さん インタビュー
- 2023/11/27
- エンタメ・スポーツ
沖縄は“ハブ”としてのeスポーツ大国になれる
――沖縄とeスポーツとの結びつけ方、あるいは展開の仕方にはどんな可能性があると考えてますか。
「僕が沖縄に来た頃、うちにゲーム大会を仕切ってる社員がいて、色んなところで大会が開かれてたんですが、正直言って“無法地帯”だったんですよ(笑)。著作権的な部分とか。それで沖縄eスポーツ連盟を作るにあたって、メーカーと繋げる役割を担うということで参加しました。今はちゃんと調整もできてますし、皆さんちゃんと著作権の概念をしっかり持って大会も運営されてます(笑)。
沖縄って日本中の人が行きたい場所だし、もっと言えば世界中の人が行きたい場所。だから、色んな大会で『沖縄行きたいかー!』みたいな形で『決勝の地』としてブランディングしていくことは今後の可能性としてもの凄く良いんじゃないかと思いますね。そうなった時には、やっぱり迎え撃つ県内のチームが強くなってこそというのはありますけど」
――ゲームってどうしてもインドアなので、「ゲーム×リゾート」という組み合わせって、意外と無いですよね。
「そうなんです。県内だけで大会でどうリクープするか、スポンサーを集めるかというのはなかなか厳しくて。閉じた中でeスポーツを考えるとビジネス化は難しいですが、台湾もすぐそこだし、米軍の中にも色んなeスポーツのグループがあるし、中国とも交流があるということも考えると、こんなにオープンな環境はないですよ。“ハブ”として最強の「eスポーツ大国」に沖縄はなれるんじゃないか、と考えています」
――条件・環境さえ整えればという感じですか。
「いや、もう既に整ってると思っています。色んなところをちゃんと繋いで、実施する人さえ出てくれば出来ます。そこで初めてビジネスとしても沖縄のeスポーツが成り立っていくんじゃないかなと。eスポーツの興行で成功してる中国とかラスベガスでは大会にちゃんと観客がいて、その周辺でさらに色んな経済的な動きが生まれるという形になる。こうした形はまだ日本ではありませんが、出来る土壌はあるし、やれないなら興行主を連れてこればいい」
――とりあえず1発前例を作ってみてわかることもありますもんね。
「そうですね。キングスで盛り上がっている沖縄アリーナは国内でも電飾・照明とかの演出で派手なことができる場所なので、eスポーツにめちゃめちゃ向いてるなと思うんですよ。1度でもいいから有名な大会を誘致するという形でやってみるのが良いと思います。頭からガッツリ儲けようとするとなかなか広がらない部分もあるので」
1番大事なことは「どれだけゲームで遊んでるか」
――最後に人材の話を。ゲーム携わって仕事をすることを目指してる人も多いと思うんですけど、どんな人材が欲しいか、あるいは沖縄からどんな可能性があるかということも聞いておきたいです。
「今はもう場所にとらわれない世界になっています。実際僕らがフルリモートですし、東京のゲーム会社でも同じようにしてる所もいっぱいあるんですよ。シリコンバレーの会社の社員で沖縄に住んでサーフィンしながらリモートワークしてる人もいるし、1人で沖縄に住んで作ってるクリエイターで有名な方もいらっしゃったりもするんです。だからもう、『沖縄だから』というようなことは本当に関係無くって、言い訳にもならないというか。
作れる人はどんどん作って発信すればいいし、ちゅらっぷすが良いって思ってくれる人いれば声かけてほしいし、うちに限らず有名な会社でもたくさんリモートOKの職種があるのでどんどん応募してほしい。県内で~とか日本で~とか、そこで縛られる必要は一切無いと思いますね。
あと、この文章を読んでくれる人たちにはeスポーツに親しんでいる方々もいると思います。eスポーツのプレイヤーって、作る側からしても本当に凄いんですよ。僕たちが考える仕様を把握して、例えば『このボタン押したときにコンマ何秒でどういう挙動をするか』みたいなことを研究してる。それこそ作る側になった時には、その感覚めちゃめちゃ強みになると思います。
ゲーム業界で1番大事なことって、どれだけゲームで遊んでるか、何が面白いかということをちゃんと分かってるかどうかなんです。だから、そこを理解している人たちは、プランナーとして、きっとどこに行ったって活躍できる。『作る側も楽しいですよ』っていうことはお伝えしておきたいですね」
――確かにゲーム実況とかプレイ動画見てると、笑っちゃうくらい凄い人たくさんいますね。シンプルですけど1番重要なところですね、どれだけ遊んでるか楽しんでるかというのは。
「この業界にもう30年近くいるので、業界にいる人たちの“属性”が移り変わっていくのも分かるんですよ。昔ってもう、高卒だらけだったし、僕もそうですけど(笑)、みんなもうひたすらゲーム大好きで、アホだけどゲーム熱が凄いみたいな業界だった。
それからだんだん頭が良くなってきて、データ分析が重要視されるようになってきて、今ちょうどその2つが融合していると思うんですよ。ただ、データを重視する人って、そんなにゲームを遊ばないんですよ。作ってる自分のゲームすら遊ばないし、作ってる自分たちが使用しているアニメすらちゃんと見てない人も増えてきたのは確かなんです。
だから、そこに『めちゃくちゃゲーム大好きで、作りたい!』みたいな人が今業界に入ると、凄く重宝されると思います」
――周期みたいなものがあるんですね。確かにマーケティングの視点からもデータ分析は必要ですけど、そもそものことを考えるとゲームってやっぱ楽しいからやりますもんね。
「そうなんです。今だと、おっさんはゲーム大好きな人たちが多いんですよ。一方で現場の一線はちょっと頭が良い人たちが多い。だから次重宝されるのはアホみたいに情熱がある人なんだと思います(笑)。
人に自分が面白いものを『面白いでしょ』っていうのは結構恥ずかしいんですよね。面白くないよって返された時を考えると。でもそれを言えるアホさって、おそらく今後もっと必要になると思う。そんな人たちがゲームを作ってくれたら嬉しいなと思ってます」
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