【eスポーツ@沖縄】「自分たちの遊び場は自分たちで作る」ゲームを通してJ-Snakeが築き上げた場所
- 2023/8/19
- エンタメ・スポーツ
沖縄eスポーツシーンを発展させるには
「eスポーツ」という言葉が広まり、ゲームをすることへの認識が変わり始めている昨今。日本のeスポーツ市場は海外にかなりの遅れをとっているものの、それゆえに今後の成長が期待されてもいる。こうした状況の変化について新里さんは「世の中に認められつつある、という意味では追い風だと思います」とウェルカムな姿勢を示す。
が、その一方で懸念やデメリットについてもこう語る。
「僕らはeスポーツという言葉が流行る前から、ゲームが好きで好きで仕方ないヤツらで集まって自分たちの居場所を作ってきました。でも認知度が高まることで、そこに『eスポーツはビジネスになる』という理由だけで、ゲームに全く愛着のない人たちが参入してきたんです。そのことによって、ここ何年かで本当のゲーム好きたちが集まっていたコミュニティが踏み荒らされてしまったんです」
eスポーツ市場は現在進行形で拡大しているため、ビジネス面から見ると様々な可能性があちこち転がっていると言ってもいい状況にある。しかし、この黎明期に本当にゲームが好きなプレイヤーたちの思いや意向、これまでの経緯・文脈を踏まえない事業展開をすれば、自らその市場の可能性を狭めてしまうことになる。というか、既にそうした事例が生み出されてしまっており、それは明らかに問題と言わざるを得ない。
新里さんは「沖縄は空間的に狭い地域でもあるので、その傾向が顕著だった」と残念そうに指摘する。
沖縄のeスポーツシーンの今後の発展には様々な企業・団体との協力が必要になるはずだが、その最前線で熱気を生み出しているのはあくまで「ゲームが好きで好きで仕方ないヤツら」だ。このことを念頭において継続的に面白い取り組みを続けることこそ、シーンが健全に盛り上がっていくことに繋がるはずだ。
とにかく〝皆で楽しむバイブス”に溢れた会場
「美らブラ極2023」の会場。参加者は105人が繰り広げた午前中からのトーナメント戦を経て、夕方ごろにはトップ8のプレイヤーたちがステージに上がり、『スマブラ』で対戦するプレイ画面が映し出されたスクリーンを他の参加者たちが見守る。幾多の闘いを制してきたトッププレイヤーたちの熱戦はレベルが高く、会場のボルテージも上がる。格好良く爽快なプレイには「気持ち良いーー」「大好きだーー」といった声援も飛び出す。
さらには壇上のプレイヤーが操作するキャラクターが画面上で打撃コンボを連続させていくリズムに合わせて、フロアからは「オイッ!!オイッ!!」と掛け声が起こる。決勝に向けて盛り上がっていく雰囲気には、実際にプレイしていなくても否応なく高揚感を覚えてしまった。そこにあるのは「とにかく皆で楽しもう」という一体感だった。
激戦を制して優勝を掴み取ったのは、現役高校生でプロゲーマーのつばきさん。新里さん主催の大会をきっかけに、沖縄で初めてプロゲーミングチーム「DETONATOR(デトネーター)」と契約したプレイヤーだ。こうした沖縄からのプロゲーマー誕生は、若手を育成するという意味でもゲームの普及活動という意味でも「夢が1つ叶った」と新里さんは言う。
イベントを終えて、新里さんは「皆に楽しんでもらえた」と笑みを浮かべた。コロナ禍もあり、100人規模で集まる大会は4年振りだったという。「日本全国やアメリカなどで各地の大会を見てきた中で、比較的中規模の大会をリスペクトしていて。プレイヤーと運営スタッフが地続きで、勝敗だけじゃなくて皆で楽しんで盛り上げる現場を目指してきたんです。今、それが実践できていると思います」
また、同会場では『スプラトゥーン』のトーナメント「沖縄スプラトゥーンバトルトーナメント2023 Summer」も開催されており、小学生から一般まで172人が参加して火花を散らしていた。一般部門ではぬぇさん、だしまきさん、ごとうさん、まめるりさんからなる「勝つしかホクサイ」チームが優勝を飾った。
それぞれの決勝戦では、双方の参加者が猛者たちの熱い戦いを観戦。たくさんの人たちが声援と拍手を送り、大会やゲームの違いに関係なく「皆で盛り上げる」空気が出来上がっていた。
対面で多くの人たちと接して興奮や喜びを分かち合う機会はコロナ前よりも“ありがたみ”が増したこともあり、好きなものを共有する人たちの繋がりを広げていく機運は今高まっている。その時宜も得ながら、新里さんを始めとする「ゲームが好きで好きで仕方ないヤツら」を筆頭に沖縄のeスポーツシーンが盛り上がっていくことを願うばかりだ。
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