2023年を「本格的なインバウンド復活の年」に JNTOが最新動向説明

 

台湾からのリピーターには“より深い”アプローチを

 台湾も韓国と同様リピーター中心の成熟市場で、日台の水際措置緩和以降は海外旅行先として日本が圧倒的な人気だという。地理的に近いこともあって、都道府県別の延べ宿泊者数では、沖縄が東京に次いで2番目となっている。

 リピーターが多いということもあり、「より“深い”情報を求めている人が多いと言えます」と高橋さん。自然はもちろん、伝統文化・芸能やサブカルなど、「それぞれの分野の背景にあるストーリー性や、“ここでしか観られない・できない・味わえない”ということを提示することで“特別感”や“限定性”を演出することが効果的なアプローチになると考えられます」。

 さらに高橋さんは、教育旅行への関心がある層についても触れた。日台の教育旅行による交流は20年以上前から行われていることも踏まえて「距離的なアドバンテージを生かして、“学びの場”としての沖縄をPRするといいのではないでしょうか」と提案した。また、教育旅行という形で小中高生が日本を知ることで、「将来の日本ファンを増やすことにもつながります」と強調した。

「沖縄には香港人の好みが全て凝縮されている」

松田博和さん

 香港についての報告は松田さんが担当した。香港からの日本渡航については、いくつかの条件や懸念があったが、昨年秋ごろから香港入境時の強制隔離撤廃や日本側の受け入れ再開が順次なされたことから、松田さんは「香港からの日本渡航の整備は着実に進展しています」と説明した。

 そして、香港の旅行者については「インスタ映えがとても重要なキーワードです」と強調。景色の良い場所や美味しそうな食事など、いわゆる“映える”写真を撮影してすぐさまSNSにアップすることが香港でもトレンドだという。

「香港の人たちには、旅行をしながらすぐその場で写真や動画を発信して、SNSで自慢したい、美味しいものを食べたい、という人たちがとても多い印象です。沖縄は美ら海水族館や国際通りなどを中心に、映える場所や美食をはじめとした香港人の好みが凝縮されたスポットだと思います。積極的な情報発信でさらなるファン拡大に加えて、滞在日数や消費額増につながることも期待できるでしょう」

 こうした3市場の動向を踏まえた上で高橋さんは「東アジアにはまだまだ(コロナ禍の影響からの)回復の余地があります」と述べ、その上で「インバウンド“復活元年”となるかどうかは中国の動向にもかかっているので、これからはそちらへの働きかけも本格化することになると思います」と展望を話した。

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真栄城 潤一

投稿者記事一覧

1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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