「しんどいですよ…」医師から悲鳴も 沖縄県、インフルエンザ警報4週連続

 
子どもを診察する医師(イメージ写真)

 沖縄県は2月9日、今年第5週(1月30日~2月5日)のインフルエンザ定点報告数が1定点当たり平均で47.18人(定点医療機関56カ所、報告数2,642人)となり、警報の発令基準である30人を超えたことを発表した。前週(1月23日~29日)の41.23人から約1.14倍の増加となった。

 県内では33.23人となった第2週(1月9~15日)の数字を受けて3年4カ月ぶりにインフルエンザ警報を発令し、今回で4週連続での基準超えとなった。新型コロナウイルスとの同時流行が続いている。学校での学級・学年閉鎖も相次いでおり、対応に追われて疲弊した小児科の医師らからは「もうしんどいですよ…」との声も漏れる。

5~9歳が最多 55施設で学級・学年閉鎖

 県が感染動向を調査している定点医療機関は小児科33、内科23の計56機関。

 第5週における県内6保健所別の患者報告数は、中部保健所が58.78人で最も多く、那覇市保健所49.25人、南部保健所45.93人、北部保健所39.60人までが警報発令基準の30人を上回った。ただ、基準を下回った宮古保健所も22.50人、八重山保健所も20.67人と高い水準となっている。

 年齢別では5~9歳が全体の32.8%を占める867人で最多。10~14歳が551人(20.9%)、1~4歳が518人(19.6%)と続き、若年層で感染が拡大している。それを受け、第5週の平日である1月30日~2月3日には幼稚園、小学校、中学校、高校で学年閉鎖が計5施設、学級閉鎖が計50施設あった。

 インフルエンザの型別ではA型が94.4%、B型が0.1%、その他は不明だった。

診療開始前から長蛇の列 感染対策して診療

消毒のイメージ写真

 2月上旬のある日、本島中部にある小児科のクリニックでは、午前9時の診療開始を前に入口に子連れの行列ができていた。オープンに合わせて来院した人でも1時間から1時間半待ち。院内での感染を防ぐため、患者はワイヤレスのブザーを渡されて車内で診療の順番を待つため、約20台が停められる駐車場は常に埋まっていた。

 「いやー、もうしんどいですよ…」。医院長の男性が疲労の溜まった様子で苦笑いを浮かべた。近所の小学校では1月からインフルエンザが流行り、毎日のように患者が押し寄せているという。感染対策で患者の待機場所と診療場所を待合室や診療室、パーテーションで区切った廊下の突き当たりなどに分けているため、医師や看護師が慌しく院内を行き来していた。

 この医院長は疲れた様子を見せながらも、子どもたちと話す時には優しい笑顔を浮かべながら「大丈夫ー?」「どこの学校なの?」と気さくに話し掛けていた。連れ添った親にも「もうお父さん、お母さんもかかるかもしれないし、大人の方が症状がキツいから消毒とかして気を付けてくださいね」と気遣っていた。

 インフルエンザと新型コロナウイルスの同時流行を受け、県は「手洗い」「マスク着用」「予防接種」などの対策のほか、予防接種を受けることも呼び掛けている。子どもが罹患した場合、発症した後に5日を経過し、かつ解熱した後に2日(幼児は3日)を経過するまでは学校などが出席停止となる。


長嶺 真輝

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ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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