「周りと違っても大丈夫」 講演300回超 企業協賛でLGBTパンフ発行
- 2020/9/8
- 社会
親も孤独に悩んでいる
「裏切り者」。26歳でカミングアウトした竹内さんが、父に言われた言葉だった。母は今までに見たことがないほど泣いていたという。人口6000人ほど、岡山県の小さな町で酪農家の次男として育った竹内さん。「そりゃ、そうなるよな」と思った。つらかった。「あんなに怒られたのは、初めてでした」。
LGBTの当事者同様に、我が子が当事者だと知った親も悩み事を抱えているだと気持ちを寄せる。
「例えば親戚の集まりとかで『お前んとこの娘、髪短くないか?』『あなたの息子、長男のくせになよなよしてない?』と言われて堂々と『これがうちの子だから大丈夫』とは言いにくいでしょう。親戚の恥と思われたくない、地域の人にバレたくないという意識があると思います」
誰にも相談できずに孤独なのは、本人も親も同じだ。だからこそ、親や保護者の世代の知識を深めるのも大切だと感じており、子どもたち向け以外に一般向けの講演会も行っている。
周囲の理解も大切だ。竹内さんの両親が受け入れてくれたのは、39歳の時。ほんの4年ほど前だ。きっかけは“母親の小さな勘違い”だった。
地元で開いた講演会。母には「講演会をする」ということだけ告げていた。物の整理や片づけを通して前向きな心持ちを指南する「ガラクタ整理師」としてロングセラー書籍の著書でもある竹内さん。母は、息子がガラクタ整理師として講演するものだと思っていた。
しかし、話の内容はLGBTや性の多様性について。さまざまな負の感情が絡み合って辛そうな表情を見せる母を、母の友人たちが両隣でずっと励ましてくれたという。「良いじゃない。キヨちゃん、頑張ってるじゃない」。友人が息子を応援してくれている。竹内さんが母に初めて認めてもらえたのは、その翌日だった。
「やっぱり横のつながりってとても大事だと思うんです。どれだけ本人が説明しても、どれだけテレビで解説していても聞く耳さえ持てなかった人が、普段から接している牛飼い仲間や茶飲み友だちから『良いんじゃないの』と言ってもらえることが意味合いが全然違います」
母が抱えていた肩の荷が下りた瞬間でもあった。
届け続ける「まわりとちがっても大丈夫」
講演を続ける竹内さんの元には、子どもたちからの感想が寄せられる。
「わたしもおんなだけど、かめんライダーがすきだけど、いいということがわかった」(小1)
「アメリカと日本のハーフでみんなとなんで違うのかな?と思うときもありました。でもきよさんの話をきいてぼくは周りと違っても大丈夫!!と聞けてよかったです」(小6)
「今日初めて清文さんのようなLGBTの人の話をまぢかで聞きました。(中略)LGBTに対するマイナスのイメージが消えました」(中3)
講演会以外でも、SNSで個別の相談を受けている竹内さん。講演会のテーマはいつも大きな文字で掲げられている。
「まわりとちがっても大丈夫」
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