「周りと違っても大丈夫」 講演300回超 企業協賛でLGBTパンフ発行

 

安心して手に取れる小さなサイズ

 2018年にも一度、同様のパンフレットを作った。こだわりは「ポケットに入るぐらいの小さなサイズ」にしたことだ。

 「学校の先生から『大きな冊子だと子どもたちが取れない』という指摘がありました。“LGBT”と書いている物を学校で持っているだけで、からかわれたり笑われたりする心配があります。だから、誰にも気付かれずに自分だけが持ち帰れる物でなくてはいけませんでした。本当にその通りだと思いました」

 イメージしたのはDV関連のパンフレットだ。コンビニのトイレに設置されていてポケットサイズ。実際にこのサイズのDVパンフは学校に置いていても減っていくという。

 「大きいパンフレットでも手に取れるという子は、もうある程度自分で受け入れきれているんですよね。一人で悩んでいる子ほど取れないです」

協賛企業「多様性」に共感 講演時にも支援

 パンフレットには協賛企業・団体のロゴも大きく載せている。これは、協賛に対する感謝の意味合いだけではなく、子どもたちに「LGBTに理解があって、さまざまな性の在り方を応援している企業や団体はたくさんあるんだよ」ということを伝えたかったからだ。

 数年前、竹内さんの講演を聞いた当事者の高校生からこう言われた。「昼間の仕事はできないのだろうと思っていた」。性的少数者は“受け入れてくれる企業がなく、バーなど夜の仕事しか選べない”と思い込んでいたのだという。

 竹内さんは「このコロナ禍のご時世に協力して頂いて、LGBTのことを応援してくれる企業が(少なくとも)11社あるということを知ってほしい」と、昼でも夜でも働けるということを示した。

 「学校現場での理解が進んだとしても、子どもたちが次に進むのは企業です。子どもたちのことを考える時、どうしても『就職』が関係してきます。企業との関わりは大切です」

 今回、協賛企業に名を連ねた旅行代理店、平田観光株式会社(石垣市)の八重山コンシェルジュ・奥平崇史さんは「石垣にもつらい思いをしながら頑張っている子がたくさんいると知りました。地元の子どもたちの力になって、恩返ししたいと思いました」と話す。

 石垣港離島ターミナルに本社があり、船のチケット販売も行う同社は、竹内さんが八重山地域の離島で講演する際の船賃もサポートしている。

 「多様性」というキーワードにも共感している。「もともとバリアフリー観光や外国人観光などにも力を入れており、どんなお客様にも、居心地の良い時間を過ごして元気になって頂きたいとの思いがありました」。そしてこう続ける。「竹内さんが(多様性理解の)伝道師として県内外を駆け巡って活動して頂いているので、こちらとしてもやりがいを感じています。(このような取り組みを)南から全国に発信されていることに、ウチナーンチュとして誇りを感じます」

 協力の輪は人から人へつながっていった。「竹内さんの人柄に惚れたという感じです」。

県内離島を結ぶ航空会社も講演時の移動をサポートする
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