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モズクの雌雄判別で品種改良可能に 収量増に期待 OISTら研究
- 2022/6/9
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雌雄判別の実現で品種改良ができるようになったことから、西辻研究員は「(前述の課題の②と③にあたる)芽落ちや高水温に対応できるモズク株が作成できる可能性が高いです」と、漁師を悩ませてきた問題解決に自信を見せる。OISTは2016年以降にオキナワモズクの伊平屋標準(S株)、勝連(K株)、恩納(O株)、知念(C株)の4種の遺伝情報を解読しており、それらの長所を生かした新たな株の誕生に期待が高まる。
「確実に芽が出る」ものを選定可に
研究チームは当初、オキナワモズクの雌雄判別を目的に研究を進めていたが、結果として雌雄両方の遺伝子情報を併せ持つ「胞子体に成長して食用として使える“受精卵的な性質” の盤状体」の特定もできるようになった。
“受精卵的な性質” の盤状体は確実に芽を出すことから、前述の課題のうち「①芽が出ない」を完全に解決するに至った。今回開発したPCR検査法は今秋から運用を開始する予定だ。
現場の困りを科学が解決
これまで、モズク養殖の現場では芽が出ないことにより、種の培養から種付け、発芽を待つことも含めて約2カ月間程度が全くの無駄になることもあり、大きな経済損失となっていた。今回の研究で原因として「何かの拍子で、芽が出ることのないオスやメスの盤状体が混ざることがあった」ことが明らかとなった。
また、芽が苗床から落ちてしまうことも、現場では「ある種の病気」というように考えられていたが、これが病原体によるものなのかも含めて原因の特定を進めていく方針だ。
高校の設備でも検査可能
今回OISTの研究チームが編み出した検査法には高価な機器が不要で「高校の生物部にある設備でも可能」だという。また、研究成果によって沖縄の養殖モズクの収穫増加につながることが見込まれていることから「OISTが求められている沖縄振興の力になることが期待できる」と西辻研究員は喜ぶ。今後、同様の研究をイトモズクにも応用する予定だ。