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【教員免許更新制度廃止へ②】教員の危機的状況を脱する契機となるか
- 2021/9/10
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教員免許に10年の“有効期限”を設け、更新しなければ失効してしまうという教員免許更新制度(以下、「免許更新制」)。しかし、忙しい10年目のミドルリーダーたちに30時間以上の更新講習受講を強いるのは、本人にとっても学校にとってもかなりの負担です。決まった時期に強制的にコストをかけさせる更新制の手法は廃止されることとなりました。多忙化のみならず、課題が山積する教員を巡る環境はいま、危機的な状況にあります。政府は、時代に適った研修制度を構築し、やりがいある職業として魅力あるキャリア像を新たに示していかなければなりません。
沖縄でも教員の休職の多さなど厳しい環境を背景に、教員採用試験の倍率の減少傾向が止まらず、教員を目指す若者が減っている現実があります。教員という職業の未来像は沖縄にとっても非常に重要なのです。制度廃止をきっかけに、真に効果的な資質向上策の実現なるか。免許更新制の廃止に迫る3回シリーズの第2回目です。
教員へのアンケート結果の衝撃
免許更新制の見直しに向けた審議に先立って、文部科学省では、現職の教員2,108名に対し、更新講習に対する満足度や負担感などについてアンケート調査を行いました。その結果、現場の強い不満が改めて浮き彫りになる非常に明快なデータが示されました。
・「受講した講習が最新の知識・技能を修得できる内容であったか」という更新講習本来の目的を問うものに対し、「あまりそう思わない」「思わない」は 44.8%に上り、「そう思う」「ややそう思う」の 52.6%と同じくほぼ半数。
・「受講した講習が現在の教育現場で役に立っているか」というこれも根本的な問いに対し、「役立っている」「やや役立っている」はわずか約3割。
・「免許状更新講習の総合的な満足度」という問いに至っては、「不満」が 39.0%と最も高く、「やや不満」も 19.5%で、合計が約6割を占める一方、「満足」「やや満足」の合計は 19.1%。さらに、満足度の低さは、負担を感じる要素としての「講習時間」や「受講費用」の2項目と強い相関関係。
他にも、自由記述では、無回答を除く1,693回答のうち、「廃止すべき、意義を感じない」に類するものが約5割(853)、「受講料が高い」に類するものが約2割(335)といった結果が出ました。現場がこれだけ明確に不満を示すということからも、いかに不要論が浸透していたかが容易に想像できるのではないでしょうか。
更新講習どころじゃない現場
1日のクラス活動を統括し、1つ1つの授業を丁寧にこなすだけでも簡単ではない学校の先生。加えて、近年顕在化してきたいじめや不登校などの問題、さらには、分散登校やオンライン授業などのコロナ対応といった膨大なマルチタスクをさばいていく必要があります。学校の先生というのは、いかに効率よく仕事をこなしていくかが最重要といえるでしょう。