医療体制の改善なければ「制限緩和難しい」 玉城デニー知事一問一答

 
会見で記者の質問に答える玉城デニー沖縄県知事(沖縄県公式YouTubeチャンネルより)

 沖縄を含む19都道府県について、新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言の期限延長が発表された9日、沖縄県の玉城デニー知事は会見で、県の対処方針を説明する一方で、経済活動再開に備えてワクチン接種・陰性証明の活用や行動制限の緩和について考え方を示した。
 そのうち、証明書活用については、県庁内で立ち上がったプロジェクトチームで今後具体的な内容を詰め、デジタル・アナログの両面での運用を検討する方針を提示。県内の行動制限緩和については逼迫する医療体制の改善が目に見えなければ難しいという見解を示した。記者とのやりとりの詳細は以下の通り。


 ―ワクチン接種・検査陰性証明書を活用するプロジェクトチームを立ち上げるということだが、どういう風に活用していく案が上がってるのか。

 玉城デニー知事国でもワクチンやPCR検査のデジタル化をどのようにして図っていくかということを検討してもらいたいし、デジタル化の前にアナログとしてどういう活用ができるのかということも検討をしていきたいと思う。例えば、2回の接種が済んでいればその接種券をどのように活用するかなど、何が現実的でどういう場面で必要になるのかということもプロジェクトチームでしっかり議論をしてきたいと考えている

 ―飲食店に入る際に提示するというような。

 玉城知事そうした形も含めて、幅広い分野・業界でどんな使い方をした方が不公平感がないか、あるいは迅速に活用できるかについて検討していくよう指示したい

 ―県庁内にプロジェクトチームを立ち上げたということだが、経済界との意見交換・協議をどのように考えているか。また、緊急事態宣言が30日まで延長されたことを受けて、具体的にいつまでに実効性がある形でプロジェクトに取り組めるのか。

 玉城知事デルタ株の感染力の猛威もあり、いつまでにという見通しを立てて、そこまでに頑張ろうということはなかなか厳しい。経済界とは昨日(8日)に商工労働部が何人かと話をしている。緊急事態宣言解除の目安を明確にするため、実証実験に基づいて対処方針や県民の行動指針に(行動制限緩和を)反映させたらどうかという意見もあった。経済界の業界団体の意見をしっかりと生の声として聞いて、やりとりをさせてもらっている。こういうことを積み重ねた後、経済を再びまわしていく時には、その方法の1つとして、ワクチン接種済やPCR検査陰性の有効な期間中、何らかのイベントなどにどのように参加できるのかといった具体的なケースも検討していくところから、プロジェクト実施のタイミングが見えてくると思う

 ―県が示した段階的緩和について、県は1日の感染200人程度で「段階的解除期間」と定めているが、国と県の行動緩和の整合性をとっていく考えは。また、国への説明はされたのか

 玉城知事国の考え方は今日(9日)正式に示されたわけなので、これから我々がどういう風に取り組んでいくかというのは、タイミングをみて要請するなり、あるいは全国知事会での発言に織り込んで要請するなどしたい。(1人の感染者が平均何人に感染させるかを示す)実効再生算数が0.7でこのままずっと推移して、病院現場の病床数や重症病床数などが継続して改善傾向にあると判断できれば、国の求めている緩和との整合性をとる必要があると思う。そのことについては、シルバーウィークも含めて今月どれだけ対策を徹底できるかということが大きな山だと思う

 ―政府で検討されている緊急事態宣言の行動緩和についてはどう考えているか。

 玉城知事沖縄は離島県なので、県外から来られる方も県内から出て行く方も移動の自粛をしてもらいたい。まずはしっかりと水際で抑えておくこと。さらには県内でどれだけ人と人との接触を減らし、たとえ『1密』であっても、そういう状況をつくらないということに県民をあげて取り組んでもらって、現在の逼迫する医療体制を改善させていくという方向性での改善が見られない限り、緩和については難しいと思う。今ちょうどその改善傾向が見られているこの状況を維持していきたい

 ―5月23日から緊急事態宣言下にある状況が続いていることについて、県民の負担などあると思うが、どう受け止めているか。

 玉城知事全ての県民の方々には非常に苦しい状況の中で耐えてもらっていると思っている。夏休みが明けても学校に通えない、例えば離島の子どもたち、学生寮に戻れない子どもたちなど、現実的な問題を抱えている子どもたちや家庭に我々も一生懸命向き合って、つぶさに把握していかなければならない状況でもある。
 加えて、長く業者の皆さんにも休業要請をしているので、何とか県が示した(段階的緩和の)見通しのように、実効再生算数0.7の状態を継続することで病院現場の逼迫状況が改善され、受け入れ体制・病床の復帰・手術などを着実に行える環境を作っていかないと、再びぶり返した時にまた更に大きな波になり兼ねないという懸念もある。そのことも踏まえて、もう一踏ん張りお願いを申し上げたい

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真栄城 潤一

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1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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