伊是名でラーメン店誕生に島民歓喜「本島に行く理由半分に」

 

子育て世代にも嬉しい開店

 島でラーメンが食べられるようになったことは、特に子育て世代にとっては朗報だった。沖縄本島周辺の小規模離島に住む人々は、買い物や通院などで毎週のように本島を訪れる人も多い。しかし、子どもたちを何人も連れた夫婦にとっては、たとえ本島に出向いても外食自体が難しかった。特にラーメン店は、子連れ客に喜ばれる大部屋個室がある店舗がほとんどないため、食事の場所としてなかなか現実的な選択になりにくかったという。

「島にラーメン屋があるんだったら、家で誰かに子どもを見てもらいながら行けます。それは麺龍ができてから気づかされた島民のメリットです」(大城さん)

開店祝いで贈られた花の一部

 麺龍の従業員は、濱里さんの親戚のおばさんたちだ。「時間あるから手伝ってあげるよー」と集まってくれたという。面倒見の良いおばさんたちが作り出すアットホームな空気感も麺龍の魅力だ。男社会なラーメン業界のイメージとは対照的に、「元気ねー?」「子ども大きくなってるさ!」と、近所で聞こえてきそうな会話が交わされている。

 前述の大城さんは生後半年弱の娘がいるものの「私が食べ終わるまで、店員さんが『ゆっくり食べてねー』って娘を抱っこしてくれていました。店員さんにお客さんもみんな顔見知りなのが島ならではです」と、“地域の子育て”が垣間見えるラーメン店でもある。

店員も募集中!

 めでたく麺龍がオープンしたことが、県内紙に取り上げられるなどして注目を集めた。濱里さんは「正直ここまで大ごとになるとは思っていませんでした。ありがたい話です」と感謝しつつも「メニューをこれから充実させて、島のみなさんのニーズに応えていきたい」と俄然張り切る。店員もあと4人分は拡充したいところだという。「店をきっかけに伊是名が盛り上がったらいいなと思っています」と、両親の生まれ島に味で恩返しをしていく。

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長濱 良起

投稿者記事一覧

フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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