伊是名でラーメン店誕生に島民歓喜「本島に行く理由半分に」

 

 伊是名島で唯一となるラーメン店「麵龍」が2月28日に開店し、約1カ月が経った。沖縄本島の北北西に位置する人口約1300人の小さな離島でラーメンが食べられるようになったことから、ある島民は「本島に行く理由が半分ぐらいなくなった」と表現するほど島はラーメンフィーバーに沸く。島唯一&沖縄最北端のラーメン店がもたらした変化とは。

伊是名島と沖縄本島(Google Mapsより)

島の人が楽しめるように多くの味バリエーション

 麺龍では「とり・豚骨」と「あっさり」の2種類のスープに、それぞれしょうゆか塩を選べる。寒い時期にはありがたい味噌味も。「とり・豚骨塩」は味わい深く飲みやすいスープに、しっかりとした歯ごたえの麺が絡む。味がギュッと詰まったチャーシューもおいしさに華を添えている。

とり・豚骨塩(750円)

 店主の濱里隆志さん(43)は「個人的には鶏だけのスープが好みなんですけど、島の人がいろんな味を楽しめるように、敢えていろんな味をそろえています」と話す。

 両親が伊是名島出身で、自身は宜野湾市で育った。料理の仕事に携わって20年近く。ラーメン店、沖縄そば店、居酒屋を渡り歩き、自身の店を持ちたいと約10年にわたり那覇、浦添、宜野湾近辺で物件を探していたという。

 転機は4年前。なかなか気に入る物件が見つからなかった矢先のこと。伊是名に住む親戚の一言にはっとさせられた。「島に飲食店少ないから島でやれば?」

 年に1、2回は伊是名島を訪れる濱里さん。島で店を始めることが現実味を帯びてきた。「観光客が食事できるところが少ないということもありましたし、伊是名の人、ラーメン好きな人も多いので」と、ラーメンにジャンルを設定した。 

 それから3年半を経て店舗の工事着工にこぎつけ、オレンジ色が空に映える麺龍が誕生した。

ラーメンは「那覇の味」だった

 麺龍第一号の客となった大城あさひさん(28)は当日の開店時間に合わせて夫と兄の3人で行くと、一番乗りになった。「島の人はオープン前から並ぶまではしないだろうから、開店時間に行けば大丈夫と思って行ったら、1位でした」と笑う。「伊是名村民は絶対に楽しみにしていたはず」と大城さん。「本島に行った時にしか食べないから、ラーメンもマクドナルドも『那覇の味』って言われているんですよ(笑)。私が小学生の時に半年間ぐらい不定期で屋台のラーメンが出たことがあって、それだけでも思い出に残っていたので、島でラーメンが食べられるのはうれしいです」と話す。

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