ウクライナ侵攻と全て戦争に反対を 音楽と言葉で沖縄から声を上げる
- 2022/3/23
- 社会
西側諸国からの視点になっていないか?
シンガーソングライターのアラカキヒロコさんは、ウクライナとロシアを巡って日々報道されている情報について「西側諸国からの視点ばかりで語られてはいないでしょうか」と疑義を投げかけた。そして自身で手掛けた楽曲が、侵攻が始まった翌日の2月25日にロシアのレーベル「Shanti Moscow Radio」からリリースされたエピソードにも触れた。
「本来ならば音楽でグローバルにつながるという、ハッピーな出来事のはずでした。侵攻という行為が成されるまでは」
続けて「今回のような侵攻や戦争で、最初に犠牲になるのは武力を持たない市民ということは歴史からも明らかです。それはとても卑劣で残忍だと思います。私の心はウクライナの皆さんのもとにありますが、それと同時にロシアの方々に理不尽なヘイトが向かないことも願っています」と語り、楽曲を歌い上げた。
今年高校を卒業したばかりという崎濱空音さんは「戦争というものを『過去の出来事』として捉えていたので、とても衝撃を受けました」とスピーチで率直な感想を述べた。
「何もできないと思いましたが、ウクライナについて調べてインスタで発信することで何人かからの反応がありました。出来ることは細やかで限られているかもしれませんが、声を上げることができない人の分まで私たちが『戦争反対』とちゃんと言うべきだと思います」
「殺すな」と言い続けるしかない
琉球大学教育学研究科教授の上間陽子さんも登壇した。ロシアのプーチン大統領によるウクライナ侵攻は「恥じるべきこと」であるとしながらも、「ここ最近であっと言う間に作られた『ウクライナは善でロシアは悪』というこの図式は何なのだろうと思います。そしてウクライナ侵攻を問題とする今のような世界の本気を、なぜこれまでミャンマーに、シリアに、香港に向けることができなかったのかと思っています」と述べた。
テレビをはじめとするメディアから核武装などについての議論が盛んに聞こえてくるある種の「好戦ムード」にある現状を危惧し、「その全てを拒否しなければなりません」と口調を強めた。
さらに「私たちはプーチン大統領に対して『殺すな』と言っているはずです。それならば、プーチン大統領やロシア兵を殺すという選択肢は採用できないはずなんです。私たちは『殺してはいけない』という原理を採用したはずで、『殺すな』と言い続けるしかないのだと思います」と言葉を紡いだ。
夕暮れの気持ち良い風吹く中で大トリを務めた石垣島出身のラッパー・RITTOさんは、観客の心と体を揺らす力強いビートと言葉を響かせた。
「空爆を受けて目の前で撃たれる人を見たことはないけど、想像はできる。火薬の匂い、埃まみれの匂い、死の匂い。分からないことも多くて、簡単に何かを言えるわけでもない。家族やこの土地、島、そして国。何かを守ることの困難さを痛感する思いです」
曲間のMCでRITTOさんは言葉を探り出すようにそう話し、「届けあの国まで」と一言添えてマイクを握りしめた。
イベント会場で募金箱を設置し、インターネット上でも口座振込を呼びかけて寄付を募った。集まった寄付金は国連UNHCR協会を通じてウクライナ支援のために送金する。ライブやスピーチの様子はYouTubeチャンネル「2.24音楽祭」のページでアーカイブが視聴可能となっている。
■関連リンク
☆「NO WAR ピースライブ沖縄」アーカイブ視聴ページ(YouTube)
☆ 2.24音楽祭 Twitter