学校生活に影響ある子ども523人 沖縄県がヤングケアラー初調査
- 2022/2/18
- 社会
「どのように対応すればいいのかわからない」
学校生活に影響が出ている子どもたちについての予定を含む対応内容では、「子ども本人の観察(見守り)の継続」が24.4%で、「職員間での情報共有」が18.7%、「悩み相談に応じる旨の子ども本人への声かけ」が18.1%と続いた。
一方、対応を予定してないという回答をした教職員はからは「支援の必要性が感じられない」という理由が挙げられたほか、「どのように対応すればいいのかわからない」「本人が支援を求めていない」「他機関にゆだねたい」といった回答が並んだ。
支援で必要なことについては「教職員がヤングケアラーについて知ること」という回答が13.4%で最多。次いで「子どもが教員に相談しやすい関係をつくること」(11.3%)、「子ども自身がヤングケアラーについて知ること」(10.9%)と続いている。
自由意見では、当事者の認識について「自分がヤングケアラーだという認識がない生徒が多いため、まずは自分の現状が当たり前ではないことに気づかせるきっかけが大事」といった声や、「保護者の経済的支援や保護者のヤングケアラーへの理解が必要」との意見もあった。
また、専門職の設置・育成の必要性や、子どもたちが自身の家庭について知られたくなくて情報を得ることが難しい現状の指摘もあり、問題の根深さがうかがえる。
県は次年度から児童生徒を対象に実態調査を実施し、関係機関職員向けの研修も実施する方針を示している。
アンケート結果にもあるように、ヤングケアラーについては当事者である子どもたちが“語りたがらない”デリケートな問題だ。そのため、調査手法や体制づくりには子どもたちのメンタルケアを踏まえたきめ細かな配慮が不可欠になるだろう。
また、この問題の大きさと根深さは学校現場で教職員だけで対応するには明らかに手に余るし、今回の数字もおそらく全体のほんの一部に過ぎない。行政はもちろん、福祉や医療・介護などの分野を横断し、実効性ある支援策が早急に講じられることを願いたい。