今こそ知ってほしい現状 ミャンマー人沖縄にも400人超
- 2021/4/7
- 社会
2月1日にミャンマーの最大都市・ヤンゴンで、国軍による軍事クーデターが起きて約2カ月が過ぎた。それに対して多くの国民が反発し、デモに参加した人々に対して自国軍が武力を行使、これまでに600人近くが殺害されている。
沖縄にも400人以上のミャンマー人が住んでいるとされている。那覇市安里でミャンマー料理店「ロイヤルミャンマー」を営み、ミャンマー国内では初となる貧困層が対象の私立小学校「ミエッターイェイミョー小学校」の副理事長を務めるトゥ・ヤ・ソウさん(38)に、今こそ知ってほしいというミャンマーの現状や祖国への思いを聞く。
ミャンマー軍部の富と権力
「今の在庫が切れたら、ミャンマービールは仕入れないですよ。軍部を支持している企業なんで」。長らく同店の看板メニューだったミャンマービール。ソウさんは、商品ポスターに複雑な眼差しを向ける。
ミャンマーはタイとバングラデッシュの間に位置し、沖縄からは約3000kmと比較的近い距離にある国だ。同国は1962年から2011年まで約半世紀も軍事政権が続いた。その後は国軍の強い影響下にあるものの新政府を樹立し民主化を実現、これによって近年では海外資本も積極的に参入し、「東南アジアのラストフロンティア」として注目を集めていた矢先のクーデターだった。
ソウさんは「1988年、2007年にも軍事政権に反対するデモはありましたが、今回がこれまでと違うのは、民主化後に起きた軍事クーデターに対するものだということです」と困惑する。
ミャンマーは2008年に新憲法が成立したものの、国軍が影響力を維持しようと連邦議会議席の25%を軍指名枠が占めることになった。憲法改正には議員の75%が賛成しなければならないため、残り25%の中から1人でも離反しない限り簡単に改正できない。
そんな中、昨年11月の総選挙で、民主化のリーダー的存在であるアウンサンスーチー氏率いる国民民主連盟(NLD)が軍部の想定以上に議席を伸ばした。ソウさんは「もともと軍を支持していた層の一定数がNLD支持に回りました。なので『議会でも軍部25%の中から離反する人が出てくる』との焦りが生んだクーデターではないか」と分析する。
ソウさんによると、ミャンマー国内では軍部指導層やその周りの支援者が特権を握り、賄賂などのブラックマネーで富を独占しているという。「普通の国民が一生懸命働いても、そう簡単には豊かにはなれないのに、自分のポケットにはお金をたくさん入れています。アジア全体で見てもだいぶ富裕層ですよ」