ずっときれいな海で潜りたい 水中ゴミ拾い専門店「Dr.blue」の挑戦
- 2022/8/10
- 社会
ひと昔前のパッケージデザインがあしらわれたオリオンビールやアサヒビールのアルミ缶、見たことのない絵柄の海外製の缶詰、そして時間の積み重なりを感じさせる石灰質をまとったコーラの瓶。全て沖縄の海中から拾われたゴミだ。
「水中ゴミ拾い専門店」というユニークなフレーズを掲げて、ダイビングショップ「Dr.blue」が今年5月にオープンした。代表の東真七水さんは「水中ゴミ拾いはタイムカプセルを見つける“宝探し”みたいで、次世代のマリンアクティビティとして成り立つと思っています」と朗らかな表情で説明する。その目のきらめきからは、東さん自身も心からこの活動を楽しんで取り組んでいることがひしひしと伝わってくる。
環境問題はともすれば地球規模の大きな話として漠然と受け取られがちだが、東さんの活動を通して、ダイバーでもダイバー以外の人でも目の前の小さなことからアプローチできることが見えてくる。
マリンアクティビティとしてのゴミ拾い
「環境問題ということで伝え方や向き合い方がシリアスになりがちですが、あくまでも楽しくやっていくというのが私の姿勢です」
そう語る東さんがこの事業を始めたきっかけには「海への恩返し」という思いが第一にある。ダイバーとして海を目一杯楽しんでいたが、その一方で海に対して「何かをしてきたわけではなかった」。純粋に海のためになることをしたいという気持ちはあるものの、海自体に対価を支払うわけにもいかない。そんな中でたどり着いたアイデアが「水中ゴミ拾い」という答えだった。
「最初は海への恩返しのつもりで始めたんですけど、色んなゴミを見つけて集めてるうちにどんどん自分が楽しくなってきちゃって(笑)。だから私としては完全に“エンタメ”なんですよね。そんな実感もあって、海のためになる新しいマリンアクティビティになるんじゃないかと思いました。
実際にやったお客さんもとても面白がってくれて、帰る時には『またやりたい』って言ってくれる人も多いんです。宝探し感覚で楽しめるので、これからもっとメジャーになってほしいなと思っています」
Dr.blueのサービスでは水中ゴミ拾いダイビングを「名人コース」「達人コース」「鉄人コース」とゴミの見つけやすさを基準にした難易度別で設定しており、浦添市牧港、嘉手納町水釜、北谷町砂辺などのポイントで潜る。それぞれのポイントには巨大な土管やバイク、ショッピングカートなどの「レアゴミ」があり、それを確認するのも一興だ。
参加にはスキューバダイビング教育機関「PADI」のアドバンスドオープンウォーターダイバー以上のライセンスが必要となる。
東さんのInstagramには、ダイビングで得た“成果”としてのゴミの写真が随時アップされており、面白ゴミ、レアゴミの投稿には様々なリアクションも寄せられる。「ポジティブでポップなゴミ拾い投稿は結構反応がありますね。遊び心を忘れずに…というか単に私が楽しくてやってるだけなんですけど(笑)」