今こそ知ってほしい現状 ミャンマー人沖縄にも400人超
- 2021/4/7
- 社会
「軍政はデメリットしかない」
もしも再び軍政に戻った場合、ソウさんが強く懸念していることが教育の問題だ。自身も名門ダゴン大学を卒業しシンガポールで働いた後、琉球大学教育学部で研究生として学んだ経緯がある。国を変えるためには、判断力や思考力を培う教育が大切だと考えたからだ。だが、軍政のもとではそれが期待できない。
「軍政は全部がデメリットしかないんですよ。子どもたちに明るい未来を渡すことができません。軍のために教育をすることになったら一番困ります。自分が物を考えなくてもいいように教えられますよね」
それはソウさんの経験にも裏打ちされていた。塾で教えてもらった算数の解き方を駆使して、公立学校の算数の授業で実践すると教師に「何様のつもりか」と怒られた。知識を動員させて応用するという考え方は否定され、暗記型の教育が是とされていた。
「そんな教育では暗記ばかりで若者の人生の時間を無駄にします。北朝鮮よりひどい国になると思います」
経済的な損失も語る。「民政では海外からもビジネスしやすい環境が整いますが、軍政では国交も限られてきて、経済制裁も受けます。賄賂がある社会なんか国際的に通用しないです」。今月3日にはドイツの印刷企業がミャンマーの惨状に懸念を表明し、国営企業との取引を停止した結果、紙幣発行が困難になることが報じられている。
ソウさんは繰り返す。「軍政にはデメリットしかないです。だからみんな必死になって抵抗しています」
日本政府に「これはテロだと表明を」
国のピンチを脱するために国民が立ち上がるミャンマーの現状について、ソウさんが日本政府に思うことは「発言が甘い」ということだ。
「今の(国軍の)やり方は、本当にテロ行為ですよね。日本政府は国軍側にもスーチーさん側にもつながりがあるためか、国家としてあまり発言しません。日本の外務省には『これはテロ行為だ』と明確に表明してほしいです」と求める。また、ミャンマーの連邦議会議員で主に作る臨時政府「連邦議会代表委員会(CRPH)」が国民の支持を集めていることから「CRPHには各省庁の大臣がいます。日本政府には軍政ではなくCRPHとつながってミャンマーを助けてほしいです」と話す。
日本メディアが用いる「治安部隊」という言葉にも懐疑的だ。「ミャンマーの警察は軍の指揮下にあるので『武装国軍部隊』とか、少なくとも『国軍部隊』と書いても良いのでは。『治安部隊』と書くと単純に、警察の一部のように受け取られてしまうと思います」