何度も繰り返す休業&時短 ”協力金格差”ですれ違う思い

 

 金城さん自身も従業員の給与を自腹で補填し、借金を作りながらどうにかここまでやってきた。一部店舗のように“必要以上”の協力金を得られたとして「もし自分でもそうしていたのかな。あそこのお店にはもしかしたら借金もあったのかな」と、他の店舗主の立場もいろいろ想像してみる。

 金城さんも畠山さん同様、一時期の協力金を受け取れたことで、どうにか持ちこたえた。しかし、飲食業ではないために協力金の対象外となる個人事業主に対しては「申し訳ない気持ちになる」という共通のやるせない思いを抱えている。

「時短協力金だけどんぶり勘定」

 リラクゼーション店を経営する植木さんは、休業や時短営業などの協力金支給の対象外だ。畠山さんはあえて、植木さんに問うてみる。「どうやってお店を続けられているの?」

 植木さんのケースには、不幸中の小さな幸いとも言える状況がいくつかあった。「私の場合は、飲食店などと違って仕入れなど日々の出費がありません。年に数回、資材の仕入れで数十万円ほどです。予約を受けてお客さんが来るので、あらかじめ空けられる時間が分かります」

 そこで植木さんはお客さんがいない時間帯を活用し、リモートで別の仕事をするパラレルワークに取り組んでいた。それでも「決して潤っているわけではない」という。

 飲食店以外が対象となる給付金は、基本的に本来あったであろう売上の一定割合を補う。しかし「時短協力金だけはどんぶり勘定の給付が続いています。どう考えても不思議です」と疑問を呈する。

 業種ごとにばらつきが否めない支援策に期待することをやめた植木さんは、今できることとして、コロナ禍であろうと「ただただ、真っ当に商売をすること」を決めた。

改善の兆しなく徒労感も

 畠山さんも金城さんも植木さんも、3人とも「コロナを乗り越えたい」という気持ちは同じだが、業種の違いや制度のはざまで、協力金などの保証に差が出てしまった。適切な支援策を求めて、県に対して署名を提出するなど力を合わせて行政にも働きかけた同志でもある。しかし、改善の兆しが見えないまま徒労感だけが募ってきた。

 金城さんは「3人一緒に歩いていて、分かれ道を進むのは幸せな気持ちになれない」と複雑な表情だ。終わりの見えないコロナ禍で、それでも声を掛け合った。「頑張りましょうね」。

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長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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