沖縄と台湾、ウィズコロナ時代の交流はどうなる? 台北駐日経済文化代表処那覇分処・范振國処長

 

「台湾は現在留学生やビジネスでの長期滞在を受け入れていますが、今のところ台湾の中でのオミクロン株の確認はされていないですね。入国の際の水際対策で止めている状況です。

 経済についてはコロナで世界各国でさまざまな影響が出ている中、台湾の主力産業である製造業が好調で現在も良い業績を上げ続けています。コロナ禍でも比較的感染状況が落ち着いていたので、受注が台湾にシフトしました。半導体が世界的に不足している状況も大きなビジネスチャンスになった形で、生産が追いつかないほどの状態になっています。

 当然、観光業などは打撃を受けましたが、全体からみると影響は少ないと思います」

観光の他にも産業の“柱”を

 ―今後コロナがゼロになるには、おそらく数年単位のスパンを想定しないといけないと思います。ウィズコロナというフェーズへ移行する中で、沖縄と台湾との交流は今後どうなっていくでしょうか

「先ずは交流再開という点で、ウィズコロナではどうやってウイルスと“共存”して国境の規制を解除していくかが大きな課題ですね。これは国ごとに基準も違うので、なかなか難しい。国同士の往来のためには、ワクチンに国際的な基準が設定されるべきでしょう。

 最も現実的なのは、取り急ぎ少ない数の国との間での交渉を進めることではないでしょうか。例えば日本と台湾ならば距離も近い上もともと親密でもあります。さらに感染対策についての意識も共有している部分が多いので、交流を正常化するためのさまざまな擦り合わせのハードルがそこまで高くはないと思います。再開のメリットが、リスクよりも大きいという判断をすることができれば、話はスムーズにいくのではないでしょうか。

 コロナ前は台湾から沖縄への旅行客は年間100万人に迫る勢いでした。2年近く交流が止まっているので、再開した時には爆発的な需要が見込まれます。国際線の防疫体制の整備も含めて、沖縄側の受け入れ体制を整える必要があると思います。

 また、今回のコロナ禍では沖縄の基幹産業には観光の他にも柱が必要だということが示されたと考えていいます。観光1本だけだと、今回のようなパンデミックもそうですが、国際情勢による影響も懸念されます。

 沖縄には経済特区や米軍基地の返還地があります。そこで付加価値の高い製造業を作って育て、もう1つの基幹産業として観光との2本柱にすれば、アジア圏でのハブになれる地の利を十分に生かせる道が拓ける。前例が無いので口火を切るのは大変でしょうが、成功例を作れば後に続く大きな動きができると思いますし、沖縄の経済的自立にはこうしたことが不可欠です。

 台湾の企業も、沖縄と“ウィンウィンの関係”を築くことができて条件さえ整えば喜んで沖縄に来るでしょう」

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真栄城 潤一

投稿者記事一覧

1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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