沖縄と台湾、ウィズコロナ時代の交流はどうなる? 台北駐日経済文化代表処那覇分処・范振國処長

 

 新型コロナウイルスの影響で国境を越えた移動が難しくなり、沖縄にほど近い台湾との交流も未だ再開していない。台湾は世界的にコロナ対策の「優等生」と評価されるほどの徹底的な対策をとり、経済面を見てもコロナ禍にも関わらず製造業で業績を伸ばし続けている。

 沖縄にとっては本州よりも近く、コロナ前には観光客の往来も多かった台湾の現状や、ウィズコロナ時代の台湾と沖縄との交流について台北駐日経済文化代表処那覇分処処長の范振國さんに話を聞いた。
 2021年を振り返り、2022年の沖縄を見据える年越しインタビュー第4弾。

3月には中華航空再開か?

 ―コロナ禍で沖縄と台湾との交流が途切れてしまっている状況でもありますが、2021年を振り返ってどんなことを感じていますか

「現在の全世界規模のパンデミックは人類史上類を見ないもので、今私たちは歴史の中にいるという感じです。国民の命を守るのが最優先なので、感染対策上仕方のないことではありますが、往来ができないのは交流の架け橋である我々にとってはとても心苦しいですね。

 全く交流ができないという点では長い1年でもあったし、感染拡大と対策で同じことを繰り返していたという意味では短い1年でもありました。今後どうなるかが全く分からないので、来年以降のことを考えると、期待と不安とが入り混じった複雑な心境になります。

 期待できる要素は感染が落ち着きつつある現状を踏まえて、春頃には交流再開に漕ぎ着けられるんじゃないかというもの。『チャイナ・エアライン(中華航空)』は3月下旬を目処に運航を再開する計画を立てていて、既に予約も始まっています。これは喜ばしいニュースでした。

 一方で、不安要素は今流行り始めているオミクロン株です。感染力や重症化の度合いなど、正確な情報がまだ少ないので何とも言えませんが、デルタ株の時のように拡大しないことを心から祈っています」

苦い経験を生かした防疫体制

 ―台湾のコロナ対策や経済状況の現状についてはいかがですか?

「台湾は世界中からコロナ対策の“優等生”と言われるくらい、対応は上手くいっています。その背景には2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)の流行があります。SARSは今拡大しているコロナと非常に近いウイルスで、台湾ではSARS対策で構築された防疫体制があったことが大きかったですね。

 中国でコロナが発生したという情報をつかんでから、すぐに常に1歩先の措置に踏み切っていました。特に感染拡大当初はかなり厳格な隔離措置を徹底的にやっていました。こうした対応ができたのは、SARSを経験したことで多くの人たちの理解と危機意識を共有していたことがとても大きかった。SARS流行当時は院内感染で大パニックが起こるなど、かなり苦い経験をしましたから。

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