「玉城知事は台湾も訪問を」台北駐日経済文化代表処那覇分処・王瑞豊処長

 
インタビューに答える台北駐日経済文化代表処那覇分処の王瑞豊処長=18日、那覇市

 沖縄県の玉城デニー知事は「地域外交」を掲げて中国、韓国訪問を予定している。沖縄に駐在する台湾の外務省総領事に当たる台北駐日経済文化代表処那覇分処の王瑞豊処長に、県の地域外交への期待などを聞いた。

-玉城知事は7月に訪中を予定しています

 ぜひ、玉城知事には台湾も訪問してほしい。将来の沖縄県庁の情報収集と政策決定に資すると思う。東アジア地域には中国だけではなく、台湾、韓国、北朝鮮もある。

 その際は、単独の政党だけではなく有力な各党と接触してほしい。台湾は一党独裁ではないので、バランス良く会うことで台湾の(いろいろな)事情を知ることができる。

-県の地域外交への期待

 まず、沖縄と台湾の観光客の相互訪問などを期待する。相互理解(の深化)が必要だ。学生の交流では、互いに台湾と沖縄の架け橋になってほしい。経済連携では、これまでに土台があり、商談会も行ってきている。(コロナ禍の収束を受けて)再開していくと思う。

 「台湾は危ない」とか、「明日にも台湾有事が起こり得る」ような(印象を受ける)報道もあるが、そんなことはあり得ない。中国の軍事演習はあったが、台湾には備えがあり普通通りに生活している。

 また、沖縄は(地域で)「ハブ機能」を発揮してほしい。長年、沖縄は台湾、中国と密接な関係がある。できれば、両者間におけるパイプ役や、仲介者のような形も良い。

 このほか、沖縄は(悲惨な)戦争を経験している。中国の人も、台湾の人も、若者は戦争を体験していない。沖縄に来て戦争の悲惨さを知ることで、偏った情報を正してほしい。中国人も戦争はしたくないはずだ。台湾も同じ。(悲惨な地上戦があった)沖縄が果たせる役割がある。

-来年1月には台湾の総統選挙があります

 有力な候補者3人が出そろった。沖縄の選挙は日本本土よりにぎやかだか、台湾の選挙は沖縄よりもにぎやかだ。台湾では、地方選挙は生活に関わる(政策が争点になる)が、総統選では対中政策が重視される。

 台湾の有権者は、多くが「独立」「統一」のどちらでもない「現状維持」を望んでいる。どの候補者が勝っても、(政策は)現状維持になるのではないか。

 中国側は、選挙中に台湾に対して過激な反応をしてしまうと、(中国に反対するグループに)与する形になる。中国の方も、静かに(総統選の推移を)見ているだろう。

-中国が強硬な戦狼外交から転換したようにみえます

 戦狼外交をやって欧米諸国から批判が強くなった。このまま続けるとかえって良くないと考えたのだと思う。

 台湾は、何年も世界保健機関(WHO)の年次総会(WHA)に招かれていない。先日も台湾の衛生福利部長が、WHOに台湾を組み入れることを求めた。各国は支持してほしい。

(記事・写真 宮古毎日新聞)

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