「時代は東京じゃない、台湾」コロナ禍で“逆に有利”な留学事情

 

 進学のために沖縄を出る―。そんな時に多くの人が行き先として選ぶのは、関東・関西といった国内都市部が中心だ。しかしその一方で、沖縄から一番近い海外・台湾に目を向けてみるのはどうだろう。恵コーポレーション(那覇市)が運営する台湾留学支援塾「ニーハオ台湾」の塾長で、自身も台湾国立政治大学で国際経営学修士(IMBA)を取得した平良佑司さんは「沖縄の高校生こそ台湾の大学に進むべき」と話す。同塾のHPにはこんな文字も躍る。「時代は東京じゃない、台湾」

台湾留学「逆にコロナはチャンス」

 時代はコロナ一色だ。那覇空港発着の国際線は全てストップし、海外渡航時には一定の隔離期間があるなど、以前よりもずっと海外が遠くなってしまった。しかし平良さんは台湾留学について「むしろチャンスです」と意外な言葉を口にする。

コロナ禍でも留学はできます。コロナだからこそ倍率が下がって入学しやすくなったとも言えます」

 ニーハオ台湾では現在、12人の生徒が中国語などを学んでおり、そのうち8人が台湾への留学を目指している。台湾の新学期は毎年9月だ。コロナ禍で短期の語学留学の受け入れがストップし、地元の学生と一緒に学ぶ本科生としてのみ留学できる。

 ただし、台湾の受験生と同じ試験を受けるのではなく、HSKなどの語学試験で一定のレベルが認められると、大学・大学院共に本科生として入学できるという。そういう意味では外国人にとっては有利とも言えるシステムだ。平良さんの生徒の中にも、県内私大を卒業した後に台湾の美術系の大学院を目指している人がいるという。

「時代は東京じゃない、台湾」

 冒頭でも紹介した「時代は東京じゃない、台湾」の真意とは。それは、東京と台湾の両方で大学に通った平良さん自身の体験に基づいたものだった。

「高校を卒業後1浪して、東京の青山学院大学に入学しました。そこで『一般的な大学生』と同じ過ごし方をしていたんです。授業をサボるのは当たり前で、アルバイトに明け暮れるのが普通でした」

 日本の大学について一般的に言われているのは、入る時こそ受験勉強を頑張るが、卒業は比較的簡単だということだ。平良さんの周囲にいた、早稲田、慶應といったいわゆるエリート大学の学生でさえも、アルバイトが生活の中心になっている人が多かった。

そういう大学生活を送っても許されるような仕組みに甘えていたんですよね。ゼミの先生も、有名な企業に就職をしてくれさえすれば喜ぶ、という雰囲気でした」と平良さん。「これが良いとか悪いとかではなく」と前置きした上で「仕組みとして日本の大学が『就職のための寺子屋』のようになっている」と現状を指摘する。さらに平良さんは、「今の時代は転職も副業も当たり前」という実情を鑑みて、日本の大学が就職実績を重視していること自体が時代に即していないと見る。

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