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「知ってるけど他人事」と思っている人たちに伝えたい多様性についてのこと
- 2022/1/14
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「多様性」や「LGBTQ+」という言葉が日常的に使われるようになった現在、これらのテーマを取り扱う議論もSNSなどで頻繁に目にするようにもなった。しかし一方で、自分の身の回りにゲイやレズビアン、トランスジェンダーなどの知人・友人がいない人にとっては「言葉は知っていたとしてもどこか他人事」という感覚のままでいる人が多いのも現実だ。
「自分たちがマジョリティであること」を自覚せずに自身の「普通」や「常識」をマイノリティである他者に適用した時、差別や抑圧はもう既に起動してしまっている。多様性とは何か、これからの社会のあり方についてどう考えていけばいいのか。自身がゲイであることをカミングアウトし、子どもたちや企業向けに多様性への理解を深めるための講演やイベントなどに取り組んでいる平良亮太さんに聞いた。
若い世代ではもう「当たり前」の感覚
―ここ数年で、多様性について日常的に話題に上がるようになった思います。平良さんは当事者として、そして周知活動に取り組んでいる中でこの変化をどのように感じていますか?
「ここ5年ほどで、かなり大きく変わってきたと思います。私自身がカミングアウトしたのは高校生の頃で、大学生の時から講演活動もしていますが顕著なのは大学生や高校生以下の世代では既に性別が男女だけでは無いということは知ってるし、それが当たり前になってきているということです。
とある高校で実施した学生が自分で学習内容を選ぶ探求学習では、興味のあるテーマにLGBTQを選ぶ子どもたちの割合がすごく多いという現状もあります。多様性の考え方が若い世代では日常的になっていて、なおかつ『学びたい』という姿勢もあるんです。
しかし一方で、40~50代以上の世代では多様性という概念の捉え方が違っていて、まだまだ浸透していません」
地域文化との擦り合わせは…
「性の多様性について話す時、いつも4つの軸を示すんです。『生物学的な体の性別』、自分自身のことをどう認識しているかという『性自認』、誰を好きになるのかという『性的指向』、そして自分をどう表現したいかという『表現する性』です。これらの概念について、若い世代は引っかかりなくスッと受け入れますが、上の世代は理解になかなか時間がかかる印象ですね。
沖縄だと地域性の要素もけっこうあるかもしれません。特に“長男主義”的な文化がありますからね。仏壇を女性が継ぐことは出来なかったり、親戚の集まりの中で当然のように男は座って、女は料理を出して、という形の役割分担もあったりします。結婚するのかどうかについて聞いたりすることも、訪ねている人に悪気はなくても聞かれた方が居心地が悪くなることもある。
ただ、こうした地域や文化に結びついた生活の中での風習・慣例については、すぐに変えるべきだとか何かすべきだということではないでしょうし、簡単に変えられるものではないでしょう。でも“長男だから”沖縄に残らざる得ないとか、家を継ぎたいのに“女だから”継げないといった何らかの制限出てきてしまうと、何か考えないといけない局面になると思います。
文化は文化として尊重されるべき面もありますし、そこに選択肢の余地を持たせることができれば、とりあえずは大きな問題ではないと思います。こうした点を踏まえて、とりあえず慣例と今現在の時代の流れとの両方にある程度は自覚的であることが今できることの1つかもしれませんね」